芸能人と所属事務所との移籍などをめぐるトラブルを防ごうと、国内最大の業界団体が多くの事務所で使われている契約書のひな型を見直し、
芸能人が移籍する際に金銭で補償する制度を導入することが関係者への取材で分かりました。

芸能人と所属事務所の関係をめぐっては、契約期間が満了しても事務所側が独立や移籍を先延ばしにするなどしてトラブルになるケースが相次ぎ、
ことし8月には公正取引委員会が、独占禁止法上、問題となる行為をまとめて、業界団体などに周知しています。

国内最大の業界団体「日本音楽事業者協会」は、多くの芸能事務所が使用している契約書のひな型を見直し、
芸能人が事務所を移籍する際に金銭で補償する “移籍金制度” を導入することが関係者への取材で分かりました。

この制度では、事務所の意向で契約期間を先延ばしするのを制限するため、
先延ばしできるのは契約期間が満了した時に育成などにかけた費用が回収できていない場合に限っています。

そのうえで、芸能人側が金銭の提供を申し出て事務所と合意した場合には、移籍金を支払うことで契約を終了させることができるとしています。

日本音楽事業者協会は近く会員の事務所に対して周知することにしていて、中井秀範専務理事は
「新たなルールが芸能界の透明性や働き方の底上げにつながり、芸能人に安心して働いてもらえるよう定着を図っていきたい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191126/k10012191431000.html