秋祭り、復興立野神社の秋祭りでみこしをかつぐ地元の消防団ら=23日、南阿蘇村

 熊本地震で甚大な被害を受けた熊本県南阿蘇村立野の立野神社で23日、4年ぶりに秋祭りが開かれた。みこしを担いで練り歩く若者たちの掛け声や相撲を取る子どもたちの歓声が響き渡り、地域住民のよりどころは地震前のにぎわいを取り戻した。

 立野神社は平安時代に建立されたといい、1千年にわたり立野区を見守り続けてきた。地震では拝殿が損傷し、石垣が崩壊。県の復興基金と地域住民の寄付金で2018年夏に復旧工事に着手した。おおむね工事が完了し、秋祭りの開催にこぎ着けた。

 祭りを盛り上げる大小二つのみこしは、運良く被災を免れたという。地元の消防団員が中心となって担ぎ、さい銭箱を持った子どもたちも一緒に「わっしょい、わっしょい」と地域を練り歩いた。今年3月に完成した災害公営住宅(復興住宅)では、待ち構えた住民らがみこしをくぐったりさい銭を投げ入れたりした。

 境内に設けられた土俵では、小学生以下の子どもたちの相撲大会が開かれた。熱気あふれる取り組みに、大勢の家族連れから声援が送られた。グリーンコープ災害支援センターの協力で焼きそばや唐揚げなどが振る舞われた。

地震前は125世帯が暮らしていた立野区。長期避難世帯認定が解除されて2年余りがたつが、地区に戻ったのは5割に満たない。

 立野区の本郷わか子さん(64)は、大津町に住む孫らと訪れた。「日頃は小さい子どもたちの姿はあまり見ないので、活気があっていいですね」。同区長の中山初義さん(65)は「やっと秋祭りが開催でき、立野に戻ってきていない人たちも呼ぶことができた」と喜んだ。

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