厚生労働省麻薬取締部、通称マトリがミュージシャン、アイドルの次に標的に選んだのは“お騒がせ”アスリートだった。
11月6日、大麻を営利目的で密輸した大麻取締法違反容疑で、冬季五輪に2度出場したプロスノーボード選手、
国母和宏容疑者(31)が逮捕された。社会部記者の話。

「捜査は成田空港に米国から不審な国際郵便が届いたところから始まった。中からは大麻製品が発見され、受取人の男の供述から、
国母が密輸を持ちかけていた疑いが浮上。結局、国母は出頭し、関与を認めました。ただ、営利目的については否認しています」

国母は10年のバンクーバー五輪の際、ユニフォームを下にずらした腰パン、サングラス姿で登場。
その後の会見での「チッ、うるせえな」「反省してまーす」発言などで世間から大バッシングを受けた。

その後、国内では忘れられた存在だったが、スノーボード界では世界有数のアスリートとしての地位を確立していた。
「五輪以外の大会では何度も世界一に輝いています。世界中の険しく雪深い山で、崖のような斜面を華麗に滑る姿を収めた映像も大々的に販売されており、
2016年には世界最高の評価も得ました。メーカーとのスポンサー契約も10社以上と結んでおり、年収は1億円近いと語っていました」(前出・記者)


「実刑判決もあり得る」何が悪質だったのか


そもそもスノーボードと大麻は深いつながりがある。

「98年長野五輪で金メダルを取ったカナダ人選手はドーピング検査で大麻成分が出たものの、競技とは無関係としてメダルは授与。
その選手は後に、カナダでの大麻一部解禁の立役者になった。国母が拠点として活動する米国でも一部で使用が解禁されている。
大麻の使用が発覚しても、選手としての価値には影響しにくい業界ともいえます」(スノーボード業界関係者)

だが、今回は少し毛色が違う。司法関係者の解説。

「日本における大麻は社会的な目も罰則も厳しい。特に営利目的密輸は重罪で、最大10年の懲役、300万円の罰金。
判例では1回限りの輸入で儲けがなかったとしても、他人に譲渡する意思が認められれば認定される傾向だ。

今回密輸したのは大麻成分が濃縮された加工製品で、より悪質。1グラム1万円以上で売買され、末端価格は乾燥大麻の7〜8倍。
しかも今回の57グラムは100回以上分で、自己使用とは考えにくい。実刑判決もあり得ます」

国母本人が過去に発表した映像の中には、紙巻大麻のような絵が入っているものもあった。
スノーボード以外の仕事はしたくないと語っていた国母だが、副業が大麻密輸だったのか……。
https://bunshun.jp/articles/-/15465