◆ 2カ月で10万部『反日種族主義』、韓国人著者たちの受難 日本統治時代についての韓国における新たな見解

韓国でベストセラーとなった話題の本、『反日種族主義』が日本でも出版された。
韓国の経済、歴史分野の学者、ベテラン言論人など6人の共同著者が書いたこの本は、400ページを超える分厚い学術書にも関わらず7月に大型書店の総合ランキング1位を記録。

わずか2カ月で10万部が売れるベストセラーになった。
韓国における反日感情、そして歪曲された歴史解釈や教育を辛辣に批判するこの本は韓国でも賛否両論が沸き起こり、この夏最も話題となった本である。

・徴用工は強制連行ではなく、志願、あるいは動員された労働者であり、日本人労働者と同じ待遇を受けていた。
・慰安婦は公娼制度の一形態であり、高賃金を受け取っていた。
・日本が朝鮮半島から持って行った米は収奪ではなく、輸出であった。
・朝鮮人青年たちは先を争って日本軍に志願した。
・大日本帝国が朝鮮を滅亡させようと(風水でいわれる朝鮮半島の地脈や民族の精気を断つ目的で)朝鮮の領土に打ちこんだといわれている鉄杭は、実は単に測量用のものであった。

などといった内容は、多くの韓国人に衝撃を与えた。
なぜならば、これまで学校で学び、メディアで伝えられてきた内容とは「正反対」のものばかりだったからだ。

韓国では当然、反発の声が上がった。
歴史歪曲だ、親日派だ、と。

ことさら激しい反発をみせたのは左派陣営だ。
代表例は先日ひと悶着の末に辞任した前法務長官・曹國(チョ・グク)だ。

彼はSNSを通じて「反吐が出る」という痛烈な表現を使い、この本を批判した。
一般的に韓国の左派がこれまで徴用工、慰安婦問題等を直接的に、あるいは間接的に支持し、支援し続けてきたことを考えれば、これは「想定内」の展開だ。

一方の右派陣営。
こちらもこの本に対しては「不快感」を表明した。

保守野党の代表を歴任してきた洪準杓(ホン・チュンピョ)氏は「この本を韓国の保守ユーチューバーたちが称賛していることは理解できない。
土地調査事業、鉄杭、慰安婦問題など、我々の常識からはずれ、むしろ日本の植民史観主張と類似している」と切り捨てた。

保守野党の現役議員である張濟元(チャン・チェウォン)議員は「読んでいる間、頭痛がした」「不快感、侮辱を受けているように感じた」「歴史的自殺行為」と不快感を隠そうともしなかった。
韓国は左派右派の対立が激しい国だ。相手陣営がなにかを言えばどうにかして揚げ足を取り、言いがかりをつける。

おそらく韓国の左派、右派のメディアを長い間観察してきた日本の韓国ウォッチャーにとっては周知の事実だろう。
しかし、その韓国でたまに左派右派の意見がキレイに一致することがある。

その中の代表的なものが、韓国という「国家」もしくは韓民族という「民族」といった集団において「不都合な事実」であったり「隠しておきたい事実」に触れられたりしたとき、である。
『反日種族主義』はまさにここに該当したのだ。

■ 韓国の読者たちがこの本を支持した二つの理由

政治家たちの評価はともかく、この本はベストセラーとなり、読者たちの支持を得た。
これはこの本の内容に多くの人が「納得」したということを意味する。
果たして読者たちはこの内容の何に対して、そしてなぜこんなにも惹きつけられたのか?

まずは、これまで、何か違和感を覚えながらも解けずにいた頭の中のジグソーパズルが、次々と正しくはまって行くような「快感」を感じたからだろう。
例えば、韓国人は日本統治期の朝鮮人たちが日本に強制連行され、無理やりしょっ引かれて行ったと学び、教えられてきた。

だが、その「説」では同じ時期に多くの朝鮮人が日本に留学した事実や、多くの人々が日本へ密航して行ったという事実を説明できずにいた。
あるいは、日本が米を収奪して行ったと学び、伝えられてきたが、同じ時期に出現した富農の存在、朝鮮米の流入に反対する日本の農民たちの声についても説明できなかった。
これらの矛盾に明快な回答を示したのが『反日種族主義』であり、読者たちはこの本の示した回答に納得し「正答」と評価したのだ。

そして、読者たちがこの本に夢中になった二つ目の理由は、この本の著者たちが韓国で最も危険な「タブー」に挑戦したからだ。
慰安婦、独島、強制連行、強制動員、米収奪に対する「異説」を主張することは韓国で最も危険なタブーだ。

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https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17878