日大の悪質タックル問題で揺れた大学アメフット界で、またも不祥事が発覚した。慶大のアメリカンフットボール部は15日、活動を無期限で自粛すると発表した。大学の体育会と連名でホームページ上に掲載したリリースでは「複数の部員による著しく不適切な行為があったため」としている。詳細は「教育的観点」と「プライバシー保護」を理由に公表を避けた。

 大学OBら関係者の話を総合すると「著しく不適切な行為があった」のは今年8月の夏合宿中。一部の部員が女子風呂を盗撮し、被害者の人数は2桁に上るほど悪質だったという。すでに関わった部員2人が退部しているとの情報もある。チームは8月31日の立大戦からリーグ戦に突入し、すでに3試合を消化。その間、不祥事にからんだ他の複数の部員らが謹慎処分を受けていたが、事態を重く見た大学と部がこの段階になってようやく無期限の活動自粛を発表するに至った。

 慶大は関東大学リーグの1部上位8校による「TOP8」でプレーしている。発表では「関係する方々に多大なご迷惑をおかけすることを心からおわび申し上げます」と謝罪し、「再発防止と部の再生に全力で努める」としている。

 慶大広報課によると大学、部ともに会見を開く予定はなく、盗撮行為についても「具体的な内容は申し上げられません」としている。また、部の健全な運営とコンプライアンスの徹底、再発防止を目的に、すでにアメリカンフットボール部の田中謙二部長の主導による“再生プロジェクト”を立ち上げたことも明かした。

 リーグを統括する関東学生連盟は今季ここまで2勝1敗の慶大が第4戦以降を棄権し、不戦敗扱いになると発表。慶大の発表を受け同日中に緊急会合を招集。あす17日にも臨時理事会を開き、慶大の代表者出席の上で今後の措置を話し合う見通しだが「TOP8」からの降格は決定的。来季までに活動を再開したとしても1部下位校による「BIG8」でプレーすることになりそうだ。

 日大に続く2年連続での「TOP8」チームの不祥事。態度を硬化させている被害者もいるとの情報もある一方、事件発覚から約2カ月遅れでの活動自粛発表は“隠ぺい”と受け取られても仕方のないところ。より事態が深刻化する可能性も出てきた。

 ◆慶応義塾大学アメリカンフットボール部 1935年に部員28人でクラブ設立。1947年の第1回甲子園ボウルで同志社大を45―0で破り、初代学生王者に輝いた。大学王座には計4度輝いたが1950年を最後に優勝はない。部員、スタッフ合わせて200人を超えるビッグクラブ。

2019年10月16日 05:30 スポニチ
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