闘将マガトの誘いを受けて中国まで行ったが…

昨今のサッカー界で毎年のように話題を集めるのが、欧州トップリーグで名を馳せた選手たちの中国スーパーリーグ移籍だ。

 今夏も、ウェストハムから上海上港へ加入したマルコ・アルナウトビッチや、3年総額4800万ユ―ロ(約60億円)という高待遇を提示されて、ローマから上海申花へ移ったステファン・エル・シャーラウィが、中国へ籍を移した。

 その一方で中国挑戦を諦めた選手もいる。ブンデスリーガ2部のハンブルクに所属するマルティン・ハルニクだ。

 シュツットガルトやブレーメンなどでも活躍し、日本代表の岡崎慎司や大迫勇也ともプレーした経験を持つオーストリア代表FWは、ハンブルクの地元メディア『Rautenperle』の取材に対して、3年前に山東魯能と合意寸前にまで至っていたことを告白している。

 その当時、シュツットガルトとの契約が満了となり、フリーとなっていたハルニクは、ドイツ人の闘将フェリックス・マガトの誘いを受け、山東魯能との契約をまとめるべく、中国まで足を運んでいた。

「娘と妻をドイツに置いて、単身で中国へ行ってプレーするつもりでいた。家族には涙で別れを告げた。新シーズンを中国で迎えるつもりでいたから、バッグやスパイクなど、必要なものをすべて持って東アジアへと旅立ったんだ」

 しかし、最終的に契約は成立しなかった。いったい何があったのか? ハルニクによれば、交渉がこじれた理由は、「環境があまりに悪すぎたから」だという。

「中国に到着すると街はスモッグで曇っていて、環境が明らかにおかしいと感じたんだ。メディカルチェックを翌日に控えて、僕にも異変が起こった。ホテルで眠ろうとしてもとても気分が悪くて、眠れないんだ。腹痛もひどくなってくるし、食事も全然合わない。何も食べることができなくてね。あのときは本当に病気のような、酷い状況になったよ。環境が悪すぎて、身体が拒否感を示したようだった。

 メディカルチェックではいろんな検査を受けたんだけど、血液検査の後にクラブの医師から、『あなたはアルコール中毒ですか?』って言われたんだ。僕はそんなわけないとすぐ否定したよ。その時に僕は『ここでフットボールをしたくない』と思ったんだ」

 その後、ドイツへとんぼ返りをしたハルニクは、結局ハノーファーへと移籍。そのシーズン、当時2部だったチームをトップリーグに昇格させる活躍を披露した。

 今夏から自身の生まれ故郷のクラブでもあるハンブルクに加わったハルニクは、『Rautenperle』の取材に対して、こう言い残している。

「マガトには謝った。せっかくの話だったけど、僕は中国でプレーすることはできないと感じた。お金の問題ではなく、あそこに行けば、後悔すると思った」

10/15(火) 6:12 サッカーダイジェスト
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