1次リーグ最終戦。後半残り10分間の死闘は、前半の鮮やかな攻撃以上に心を揺さぶられた。日本はスコットランドの圧力を耐え抜き、9度目のラグビー・ワールドカップ(W杯)で初めてベスト8入りを果たした。

台風19号の影響で開催すら危ぶまれた大一番。試合前には6万7666人の大観衆が黙とうを捧げた。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は勝利インタビューでまず甚大な被害に触れた。「タフな時間帯でそのことも思った」。猛追を受けながら被災地の苦境に思いをはせ、選手たちは最後まで諦めない心をプレーで表した。

快挙から一夜明けた14日、リーチ・マイケル主将は「さらに歴史をつくっていきたい」と準々決勝の南アフリカ戦を見据えた。2位での決勝トーナメント進出なら19日だった試合日は、1位突破により20日に。神戸製鋼の黄金期を築き、日本代表監督を務めた平尾誠二さん(享年53)の命日である。

ジョセフHCは平尾ジャパンで中核を担い、一夜明け会見を仕切った日本ラグビー協会の藪木宏之広報部長は、神戸製鋼時代の平尾さんの後輩だ。藪木さんは言う。「運命ですよ」。特別な日。桜の勇者たちが、再び新たな地平を切り開く。

ソース/神戸新聞NEXT
https://www.kobe-np.co.jp/news/sports/201910/0012789169.shtml