最下位に沈むヤクルトが9月10日、小川淳司監督、宮本慎也ヘッドコーチの今季限りでの退団を発表した。
小川監督の退任はチーム低迷の責任を取っての「既定路線」だが、驚いたのは次期監督の有力候補と見られていた宮本ヘッドコーチの退団だった。

 スポーツ紙の担当記者は選手と微妙な距離感があったことを指摘する。

「宮本さんは、ファミリー気質のヤクルトでは珍しい『うるさ型』のタイプです。
前年の最下位から昨季は2位と躍進したので選手から目立った不平不満の声は出ていなかったのですが、
最下位に逆戻りした今年は宮本さんから厳しく指導されることを公然と嫌がる若手選手も少なくなかった。
フロントも宮本さんを是が非でも監督にしたいわけではなかった。いろいろ察知して身を引いたのだと思います」

 宮本ヘッドコーチの退団で注目される次期監督だが、最有力候補は高津臣吾2軍監督だ。
現役時代はヤクルトの守護神を務めて4度の日本一に貢献。大リーグでも抑えを務めるなど日米通算313セーブを挙げた。
韓国、台湾でもプレーし、独立リーグ・新潟では2012年に選手兼監督としてBCリーグ初優勝を飾っている。

 14年にコーチでヤクルトに復帰以降は、1軍投手コーチ、2軍監督と指導者としての足場を固めてきた。物腰柔らか。
世界各国の野球を体感し、指導の引き出しが多い。選手からの人望も厚く、「ヤクルトらしさ」を体現した人物と言える。

 一方で、投手陣の崩壊状態に加え、今季大ブレークした村上宗隆を除き、近年のドラフトでは有望な人材を獲得できていない。
チームを根本から変えるには編成権も掌握する全権監督で出直すべきという声も上がる。
ファン歴30年になる都内在住の会社員、橋田晴雄さん(56)は意外な人物の名を挙げた。

「元中日監督の落合博満さんにやってほしい。劇薬かもしれないけど、ヤクルトは投打の戦力がアンバランス。
成績低迷は現場の責任だけではないと思う。巨人の原辰徳監督みたいに、現場のトップにカリスマ性を持った人を据えて編成権も一任するのが良いのでは。
ヤクルトはファミリー球団で生え抜きの選手が監督を務めるのが伝統だったけど、今の時代は外部から呼んでもいいと思う。
落合さんに3年ぐらい預けてヤクルトをどう立て直すのか見てみたい」

 シーズン終了後に、球団は新監督を正式発表するとみられる。
大方の予想どおり、高津2軍監督か、それとも──。(牧忠則)

※週刊朝日  2019年9月27日号

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190918-00000010-sasahi-base
9/20(金) 7:00配信