女に嫌われる女・四天王を挙げよと言われたら、土屋太鳳と広瀬すずと吉岡里帆、そしてmiwaではないだろうか。理不尽な人選だが、miwaが頭ひとつ抜けた感がある。4歳年下の金メダリスト水泳選手・萩野公介とのできちゃった婚が発表された。萩野はスランプで休養中だったことも、批判に拍車をかけている。
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miwaがここまで嫌われたきっかけといえば、「ミュージックステーション」での坂口健太郎事件が有名である。映画で恋人役として共演した坂口の手の大きさを伝えるのに、わざわざ彼の手のひらに自分の手のひらを合わせてアピールしたという事件。149cmという小さな体でギターをかき鳴らして明るく歌う、若くてかわいい女性アーティストというイメージが一変した。ギターを担ぐ後ろ姿の写真を載せれば「低身長アピール」と言われ、鼻にかかった高い声は「かわいこぶった声でイライラする」とこきおろされる。現在は違うが、かつてGoogle検索で「miwa」と入力すると、「あざとい」がキーワード候補のトップになっていたほどだ。

そして何より、低身長も高い声も近い距離感も、男性にしてみたら「かわいい」と思わせる要素だらけというのが、女性にとって一番カンにさわるだろう。事実、2018年にE-TALENTBANKが10代〜30代男性500名を対象に行った調査では、「彼女にしたい女性アーティスト」で西野カナと同率1位だ。今回の結婚発表でも、「miwaロス」を訴える男性ファンが続出していたと聞く。

やっかいなのは、計算高く男に近づく女を、計算高いと指摘した女性の方が「性格悪い」「ブスのやっかみ」と嘲笑されるリスクである。いや、正確にはmiwaは別に計算をしている気はないのだろう。坂口健太郎と手を合わせるのは「Mステ」出演の4カ月前、「第23回 東京ガールズコレクション2016 AUTUMN/WINTER」でもやっている。逆に言えば炎上するリスクさえ考えない、その「計算のなさ」が、時代に逆行していて、miwa嫌いの人々をよけいに苛立たせているのではないだろうか。

■空気を読まないメンタルの強さは、アスリートの妻向き? 

過去の記事でも書いたが、最近のドラマは「凪のお暇」を筆頭に、「空気を読む」「自己評価の低いヒロイン」が大人気の世の中だ。恋愛もうまくやりたいけれど、同性との関係も波風を立てないように気を配る。それが大人の、いろいろわきまえている女性として大事なこと、という暗黙の了解が世の中にできてはいないだろうか。その空気を読み間違えたが最後、実生活やSNSで「調子に乗っている」と名指しされて炎上する。そうした気遣いやリスクに振り回されるつらさや不器用さに共感できるかどうかが、ヒットコンテンツの分かれ目にすらなっている気がする。

しかしmiwaは違う。あざといと言われようと、男性にアピールする要素を減らすことはない。建前社会でおそるおそる徐行運転をする女性たちをしり目に、アクセルべた踏みで我が道を行く強さがある。ある種の鈍感さとも言えるかもしれない。過去に「行列のできる法律相談所」に出演した際は、「親友アーティストの結婚式に招待されたが返事を忘れていた。でも気まずかったのでそのままほっといた」という発言もあった。空気を読みまくって疲弊する女性たちにしてみれば、考えられないことではないか。

けれどもこの図太さ、スポーツ選手の妻向きだとは思う。オリンピックで金メダルを狙うくらいのポジションの選手なら特に。萩野選手の休養の裏には、メンタル面での不調も多少あっただろうが、妻の強心臓っぷりはいろいろと心強いだろう。いずれにせよ、結果が出れば内助の功と称えられる風潮がある。オリンピックまであと1年。日本中の女に嫌われても、勝利の女神にだけ愛されれば御の字だ。そう萩野と手を合わせているのではないだろうか。

9/3(火) 11:02
デイリー新潮
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