ジャニー喜多川氏が堂本剛を怒ったのは1回だけ。一方で堂本光一は、「ユー、ヤバいよ」とばかり言われていた。コンビにもかかわらず、接し方が正反対。

これは、ジャニー氏が「褒めて伸びる人、けなして伸びる人」を見分けたうえで接していたからだ、と解説するのは、『ジャニーズは努力が9割』の著者、霜田明寛氏。
自他ともに認める「ジャニーズ好き」でもある霜田氏は、過去の膨大な記事、放送をもとに同書を書き上げた。

前回に引き続き、今回は、ジャニー氏の育成時における接し方の違いについて見てみよう。(以下、特に注の無い引用は同書より。文中敬称略)

「育成者というと、誰にでも平等に分け隔てなく接するのが理想、と捉えられがちですが、ジャニー喜多川はそうではないのです。堂本光一はその意図をこう分析します。

堂本光一
『事務所のタレントに対して、“褒めて伸びる子・けなして伸びる子”というのもはっきり見分けているような気がします(※1)』

光一と同じく、けなされ側にいるのは、意外にも、少年隊の東山紀之です。東山はジャニーズに入った頃を振り返り、
『ジャニーさんほど威圧感がなく、優しい大人にはこれまで会ったことがない』と言いながらも、『エンターテインメントを極めるという点においては、ジャニーさんほど厳しい人もいない』と語っています。

デビュー前はよく『歌、聞いてられないよ』『ヒガシ、やばいよ』『なに、あれ?』などと言われたそうです。
そのジャニーとの日々を東山はこう振り返ります。

厳しい競争を勝ち抜いた、彼らの努力や人生哲学に光をあてる。そして、彼らを見抜き導いたジャニー喜多川の
「育てる力」とは? 膨大な資料から本人たちの言葉を選り抜いた、ゴシップ抜きのジャニーズ論。『ジャニーズは努力が9割』霜田明寛 [著]新潮社
『涙が出るほど悔しい思いを重ねながら、僕は仕事に“本腰を入れる”とはどういうことかを少しずつ知る(※2)』

このようにジャニー喜多川は、叱責したり褒めたりして、プロとしての自覚を彼らに促しているのです。

ただ、ジャニー喜多川は本人がいる前では、面と向かって叱りますが、その本人のいないところでは、悪口を言いません。
逆に、別のタレントを褒めるのです。例えば、シブがき隊のところでは少年隊を褒め、少年隊のところではシブがき隊を褒め……といった具合で、闘争心に火をつけていたそうです。

一方で、ジャニー喜多川がしない怒り方というのもあるようです。それが『仕事なんだからプロ意識を持ちなさい』というタイプの怒り方。
これも光一の言葉を借りれば『“仕事を仕事と思わせないこと”がベースにあったような気がします』『仕事を楽しんでやれる環境を常に提供し、個性を決して殺さないよう、一人ひとりに種を蒔いていくイメージ(※1)』

決して、仕事だとは意識させない。きっとそれは『“仕事だから”やっているのではなく“自らが楽しんで”やっているときに、その人の才能が活かされる』という認識があるからでしょう」

30年近く前、1992年の雑誌インタビューで、ジャニー氏自身、こう語っている。

https://news.livedoor.com/article/detail/16924819/
2019年8月14日 7時15分 デイリー新潮