昨夏から産休をとっていた女子競輪「ガールズケイリン」の加瀬加奈子(中越高出)が、
19〜21日に奈良競輪場で行われるレースで1年ぶりに復帰する。
妊娠中もできる限りトレーニングを続け、カムバックに備えてきた39歳は
「とにかく娘のために走る。強い母ちゃんでいたい」と決意を口にする。(運動部・鶴巻新也)
昨年7月に妊娠が分かり、産休に入った。競輪ファンで三つ上の会社員の夫とは、11月に「授かり婚」。
今年2月2日、娘の米(まい)ちゃんを産んだ。
妊娠中も体がなまらないよう、医師に相談しながらトレーニングを続行。
出産日だけはそれどころではなかったが、翌日から徐々に体を動かした。
4月に保育園へ預けることができ、本格的に練習を再開した。
早期復帰にこだわったのは、「米が将来、やりたいと言ったことをやらせてあげられるくらいは稼ぎたい」からだ。
遠征に出ると1週間ほど自宅を離れるだけに「家族の理解があってこそできる」と感謝も忘れない。
これまでに産休から復帰した選手は5人。
産休中の金銭的な補償がないなど支援体制は未整備で、
ガールズケイリン1期生の加瀬は「ちゃんとしないと、みんな辞めてしまう」と改善を願っている。
現在のコンディションは、産休前の7割ほどの状態だという。
それでも「出産のつらい痛みを思い出し、サドルに乗れるまで戻ったことを喜びながらペダルを踏む」と話す。
わずか1年で勝負の世界に戻る。プロとして「お客さんに『加瀬は頑張った』と言ってもらえるように」と、
車券の対象になる3位以内を目指す。さらに、不惑を前に新たな目標もできた。
「米が大きくなって、作文に『私のお母さんは競輪選手です。自慢の母です』と書いてくれるまで現役で頑張りたい」と力を込めた。
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かせ・かなこ
1980年生まれ。長岡市出身。中越高−順大。2012年にデビュー。通算成績は438走236勝。優勝44回。
世界選手権などで日本代表経験もある。15年と16年のレース中に落車し脳挫傷を負ったが、その後復帰した。