ミュージシャンで俳優のピエール瀧(本名瀧正則)被告(52)にコカインを譲り渡したとして、麻薬取締法違反罪に問われた横浜市の無職田坂真樹被告(48)の初公判が25日、東京地裁で開かれた。コカインのことを隠語で「飲み会」と呼び合い、瀧被告と売人の売買を仲介。瀧被告の使用実態も初めて明らかになった。

 瀧被告の公判ではほとんど出なかった具体的な事象が次々と明らかになった。

 検察側は冒頭陳述で、両被告がコカインのことを「飲み会」と隠語で呼び、会話アプリ「LINE」でやりとりをしていたと説明。3月6日に「週末に飲み会があって、今店を探しているけど来ますか?」(田坂被告)、「行く行く。月曜じゃダメ?」(瀧被告)と発信。その月曜だった3月11日、瀧被告は実際にコカインを譲り受け、翌12日朝に吸引。同日午後に逮捕されている。

 使用実態も判明した。売買価格はおおよそ10グラム15万円。田坂被告の銀行口座には1月に21万5000円、2、3月にそれぞれ15万円、瀧被告から振り込みがあった。1カ月10グラム以上を譲り渡していたペースで、検察側は「量が多く刑事責任は重い」と指摘。振込額は3万〜21万5000円の範囲で確認されているといい、瀧被告が今年に入ってハイペースで使用していたことをうかがわせた。

 田坂被告は二十数年前、若者が集うクラブで瀧被告と知り合い、7〜8年前にコカインを譲渡するようになった。瀧被告に「外国人から荷物を受け取ってきて」と頼まれたのが最初で、その外国人が売人だったことからそれ以降、瀧被告との仲介を定期的に行ってきたと明かした。報酬はなく「芸能人と仲がいいという優越感があった。ミーハーな部分があった」と述べた。

 瀧被告の逮捕翌日の3月13日、瀧被告の妻と会っていたことも明らかになった。落ち合ったのは瀧被告がコカインを使用していた別宅マンション。室内にあったコンビニ袋を捨てるように妻に頼まれ、処分したという。検察側に「中身は何だったのか?」「違法薬物ではないのか?」と聞かれたが「中身を見ていないから分からない」と繰り返した。

 検察側は懲役2年6月、追徴金14万9197円を求刑。弁護側は執行猶予付き判決を求めて結審した。判決は28日に言い渡される。

 《金持ちならでは「まとめ買い」》検察が「量が多い」と指摘する1カ月10グラムのペース。瀧被告の薬物依存は重いのだろうか。薬物依存症の更生施設「館山ダルク」の十枝晃太郎代表は「金持ちならではの使い方」と指摘。「金持ちはリスク回避のために1回でまとめて買って、ストックしておく人が多い。おそらく瀧さんの場合、例えば週末に1晩1袋(1グラム)とか、ペースを決めて使っていたのではないか」と、依存症ではないとみている。


2019年06月26日 05:30芸能
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