宮迫が今回の営業でギャラをもらったのかどうかはあまりはっきりしませんが、もらっているにしろもらっていないにしろ、契約書までは作っていなさそうなので、解除の条項を盛り込むなどということは当然していない可能性が高いですし、契約の相手方(=営業の依頼主)が暴力団関係者であるかどうかをきちんと確認していないのは確かだと思われます。ただそういったことを全くしていなかったとしても、元が努力義務でしかないので「しようと努力はした」と言い訳をする余地が残っています。またその言い訳が通らなかったとしても、努力義務違反にしかならないので、直ちに何か法的な効果が生じるということではありません。

(※仮にギャラをもらっていたとすれば、それをきちんと申告したかどうかという税法の問題は残ります。)

そうすると、あとは努力義務違反の可能性がある宮迫を世論やスポンサーがどう思うか、ということになります。バッシングの声が広がれば、宮迫が出ている番組から下りるスポンサーが今後増えていくでしょう。そうなると、メディアとしても宮迫の起用を避けるようになります。

すると、宮迫の吉本に対する貢献度も下がっていき、吉本としても「宮迫を残すことによるデメリット」が「切ることによるデメリット」を上回る状況ができ上がるかもしれません。他方で、吉本と直接取引関係のある大企業が吉本との取引をやめようとするかもしれません。そうなれば、吉本に直接のダメージが入ります。そこまでいけば、吉本としても宮迫に対する処分に動き出すかもしれません。

ただまあ、現状世論がそこまでの盛り上がりを見せているようには見えない、というのが正直なところです。週刊誌報道後最初に放映されたアメトーーク(2019.6.13OA)も、この問題に関する謝罪や言及も特になく、普通に放映されていました。今後、この問題はそのまま沈静化していくのではないでしょうか。

私としては宮迫みたいなきちんと実力のある芸人にはちゃんと生き残っていて欲しいと思っているのが正直なところです。

確かに宮迫は、有吉の言葉を借りれば、プライドが高すぎて芸人であるにもかかわらず自分をイジらせない「バリア」を張っています。芸人なのに、ハゲも不倫もビビリも奥さんのこともファッションセンスがダサいくせに変にカッコつけていることも満足にイジれないのです。そのくせ自分はそのバリアの中という安全な位置から他の芸人をイジりまくるので、対等なプロレスができておらず、一方的なイジメに見えてしまって笑いを阻害する(=宮迫から一方的にイジられている芸人がかわいそうに映ってしまう)というとんねるず化現象が起きています。

色々なことができすぎる反面分かりやすく突出した武器があるわけでもないので器用貧乏の誹りは甘んじて受ける必要があるでしょうし、コント向けの敢えて若干クサさを醸し出す芝居がコント以外の局面では鼻につくこともあります。

しかし、あれだけ芝居もできて歌も上手くて誰かがスベってもきちんとツッコんでフォローできる芸人も珍しいのです。芸人として必要な「芸」の基礎がほとんど全ての分野で備わっているんです。そんな吉本の宝を、易々と手放してほしくはありません。

だから、これからはきちんと自分がイジられて笑いをとるという方向性の仕事も解禁していったらどうでしょうか。自分から敢えてヨゴれて、普段自分がバカにしているヨゴレ芸人の戦場に降りていき、一緒に泥に塗れるのです。そうやって仕事の幅を広げれば、吉本への貢献度も上がるかもしれません。そうすれば、首の皮がつながる可能性も上がります。