NCAA1年目のシーズンは試練の連続だったという渡辺飛勇。6月からは日本代表の合宿に参加する予定だ。

 渡辺飛勇(ポートランド大)にとって、NCAA選手1年目のシーズンが終わった。それは前年にレッドシャツ選手(練習生)としてベンチから見ていたときに思っていた以上に、試練の日々だった。

 何よりも辛かったのは試合に勝てなかったこと。ポートランド大は、八村塁がいたゴンザガ大と同じウェスト・コースト・カンファレンスに所属しているのだが、カンファレンス内全勝のダントツ1位でレギュラーシーズンを終えたゴンザガ大とは対照的に、ポートランド大は勝ち星に縁がなかった。

 1月にWCCシーズンが始まり、2連敗が3連敗になり、9連敗が10連敗になり、結局、レギュラーシーズン16試合で1度も勝つことができなかった。カンファレンスのシーズンが始まる直前、12月の最後の試合にも負け、3月のカンファレンス・トーナメントも初戦敗退しているので、すべて合わせると18連敗だ。

■自信を持てたゴンザカ大との一戦。

「毎日練習に来るのがとてもきつかった。毎試合のように大差をつけられてしまい、メンタル面で負担が大きかった。シーズン半ばには、『とにかく1勝して、そこから調子をあげていこう』と思っていたけれど、それでも勝てなくて、シーズン終盤には『1勝あげなくてはいけない』と切羽詰まった感じになった。

 それでもみんな最後まで諦めることはなく、勝ちたいという気持ちを持って戦っていた。そのことは間違いない。でも、16試合負け続けるのはきつかった」

 思い出すだけでも当時の重圧が戻ってくるようで、口調も重くなる。

 渡辺個人にとっても、山あり谷ありのシーズンだった。開幕直後は、初めて戦うNCAAの舞台で、自分のプレーに自信を持てなかった。そのため、最初は得意なリバウンドにだけ集中しようとしていた。得点は自分の役割ではないとすら思っていたのだという。

 そのなかで、自分のオフェンスに自信を持つようになったきっかけとなった試合がいくつかあった。そのうちの1試合が1月19日、八村がいるゴンザガ大と対戦したときだ。

■渡辺に火をつけた2度目のDNP。

 実はゴンザガ大と対戦する2日前の試合で、渡辺はシーズン2度目のDNP(不出場)を経験していた。最初のDNPは故障が理由だったが、このときはベンチ入りし、試合に出られる状態だったのに使ってもらえなかった。自信を失い、ヘッドコーチのテリー・ポーターと話し合いもした。

「コーチから厳しいことを言われ、それを聞いて僕も少し熱く、感情的になってしまった」と渡辺は振り返る。

「あの時は、とにかく多くの逆風が吹いていた。色々あって、前の夜はあまりよく眠れなかったぐらいだ」

 もっとも、結果的にはそれが渡辺のモチベーションに火をつけることになった。

「逆境の壁が高くなればなるだけ、アンコンフォタブルで苦しくなる。とにかくコンフォタブルな状態を取り戻したかったから、いつも以上に全力でプレーした」

>>2以降に続きます


2019/06/17 07:00
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