花村萬月のツイww


俺が駆け出しのころだ。見城がまだ角川書店にいた時代だ。角川書店担当Sに上司の見城を紹介された。
編集者なのにチープな文学意識の抜けていない薄気味悪いマッチョだった。自費でつくったらしい阿部薫の本をわたされた。ま、それはいい。


見城は仰有った。
ボクは小説は最後しか読まない。

俺がまっさらの新人だったから口を滑らせたのだろう。

当時、見城に靡いている作家がたくさんいた。バカじゃねえの。最後しか読まねえ編集者にお世辞を大量にぶち込まれて、とてもよい気分。
なにせ、あなたの作品が大好きっていう手紙を書くのが特技のすばらしい編集者だからね。最後しか読まないけれど。

俺は一切幻冬舎と仕事をしていない。だからなんでも書ける。幻冬舎と仕事をしない理由は、もちろん最後しか読まない編集者の会社から本を出したくないからだ

山周賞の選考をしていたとき、〈天国への階段〉を読まされた。亡くなった方のことを悪く言うのではない。
この本、増刷を重ねているのに(わたされたものはずいぶん版を重ねていたものだ)、凄まじい誤植の数に呆れ果ててしまった。

こんな雑なつくりの本屋から本を出さないと決めた俺は正しいと確信した。

ねえ、俺に似た頭の貴男、見城にいろいろおだてられていい気分かもしれないけれど、多分、最後しか読んでないよ〜

おまえら、いったいなにを売るつもりなんだ? 出版社、やめちゃってるじゃん。本という名のなにかを売ってるだけじゃないか。お金儲けは、愉しいかい?