NHKの報道によると「協会からホームページ作成などの業務を委託された会社の代表で、協会の広報委員会の委員を務めていた男性が、業務を再委託した同じ広報委員を務める女性に対し、立場を利用して圧力をかける
ようなメールを送ったパワハラに該当するケースが7件」という事例だった。これらはレスリング協会からの公式な発表ではなく、関係者からの情報提供によってもたらされた内容だとも報じられた。
記者クラブに加盟しているNHKなのに、なぜ関係者情報なのか? それは、今回のパワハラに関する調査報告書や、5月7日になされた理事会の決定について、日本レスリング協会としては公式発表も記者ブリーフィングもしておらず、今後もする気配がないからだ。とはいえ、2018年10月に設置された内部通報窓口を活用した第一号事例であるにもかかわらず、決定を伏せるのは不自然だと考える関係者は少なくない。そういった疑問を持つ関係者から情報が提供され、今回の報道に至ったとみられる。
伊調馨選手に対するパワハラが社会問題として連日、盛んにニュースや情報番組で取り上げられ続けた時期に、このような問題が起きたことは深刻にとらえるべきだろう。
今回の事例について、解決のために具体的な働きかけがあったと最初に耳にしたのは、昨年の夏のことだった。パワハラの具体的事例として認定されたメールだけでなく、様々な場面で元広報委員男性による被害者の女性へのパワハラ的な度を超した言動は、多くの人が目撃してきた。
とくにメールの内容は酷いもので、実は私も該当メールの一部を閲覧させてもらったことがあるが、仕事依頼のビジネスメールとして、あまりに威圧的な文面と内容であることに驚かされた。もし、一般企業で上司が部下にこのような内容のメールを送ったら(あり得ないほど酷かったが)、即刻、問題になって少なくとも譴責処分は免れないのではないか。
あまりに常識からずれている。コンプライアンス意識を高めることが求められている時期に、協会と社会の接点になるはずの広報委員の間で起きてよい問題ではない。そう判断した周囲の働きかけによって、なんとか問題を解決させようと話し合いが複数回、もたれた。ところが元広報委員の男性は、話し合いの冒頭で一言「悪かった」と口にすると、すぐに「だが、問題があるから厳しいメールを送ったんだ」とメール内容を正当化する言説を長々と語ったあげく、「パワハラと認定されたわけではない」と宣言したという。
被害者側は、自分に降りかかったパワハラ問題をきっかけとして、日本レスリング協会の広報が健全に運営される仕組みが新たに構築されることを望んでいた。
ところが話し合いでは、あくまで個人と個人の揉め事に内容が矮小化されてしまう。それどころか、パワハラであることの認識も共有出来ない。身動きがとれなくなったところ、周囲の薦めもあって、10月に設置された内部通報窓口を活用することにしたのだった。
その後、通報を取り下げる働きかけを一部から受けたが、弁護士などによる第三者委員会が結成され、調査が進められた。公益財団法人として
襟を正した、というポーズのためだけに設置された疑いももたれていた内部通報窓口が、実際に機能したことは評価に値するだろう。ところが、事態の深刻さを理解していないからだろう。その後の対応が不透明なことだらけだった。
>>2以降に続きます
5/12(日) 7:00配信THE PAGE
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