2020年東京五輪・パラリンピックを契機とした東京・明治神宮外苑地区の再開発構想で、2027年に新球場オープンを予定している神宮球場が周囲との一体感を重視したボールパーク型を取り入れることが5日、分かった。新球場の事業主体となる明治神宮関係者が「新しい要素を取り入れたい」として、米大リーグ(MLB)、パドレスの本拠地サンディエゴのペトコ・パークなどを視察した。周辺の新国立競技場や新秩父宮ラグビー場の概要も明らかになってきた。


 新球場建設で想定される総事業費は約200〜250億円。現在の秩父宮ラグビー場と場所を入れ替え、27年中の完成を目指す。

 参考のために関係者が訪れたのが、米西海岸カリフォルニア州南部の大都市サンディエゴの海沿いにあるパドレスの本拠地、ペトコ・パーク(収容人数約4万2000人)。04年に開場すると、解体予定だったビルの一部を球場内に取り込み、グッズ売り場、レストラン、ホテルに改修し、屋上は観客席として使用されている。ペトコのように周辺に娯楽施設を備えた球場は「ボールパーク」と呼ばれ、MLBのトレンドの一つとなっている。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも過去3大会で使用され、第1回の決勝で日本がキューバを破って優勝したのも同球場だった。

 関係者によると、バックスクリーン後方の丘の芝に座って観戦ができるなど、開放的な雰囲気が外苑地区に似ているという。神宮も球場横にホテルや商業施設を併設し、VIP席も整備される。ほかの民間事業者も協力の意向を示している。屋根などを付ける全天候型球場も検討していたが、コストがかさむことや景観との調和を重視するため、見送った。


 現在の神宮球場は、五輪期間中の2020年7月6日から9月13日までの70日間は大会関係者の待機場所として使用される。このため本拠地としているプロ野球・ヤクルトは代替球場の確保を迫られている。

 新国立競技場、新秩父宮ラグビー場を含む外苑地区の総事業費は、1000億円規模。30年秋ごろをメドに完了する計画で、新時代のボールパークとして生まれ変わる。

 新秩父宮ラグビー場は、21年から神宮第二球場を解体した跡地に日本スポーツ振興センター(JSC)が建設する。着工は22年予定で事業費は約200億円。客席などを段階的に増設し、最終的に約2万5000人規模となる。ラグビー以外の競技やコンサートなどエンタメ分野での活用も模索する。他事業者と非公式の協議も始めており、開閉式屋根の設置案も浮上している。

 新国立競技場は、今年11月末までに完成予定。五輪後は陸上トラックを撤去し、球技専用化の方針だったが、競技団体側と存続について協議中。国際大会開催に必要なサブトラックを確保できるか不透明だが「陸上で世界記録が出た場合でも撤去するのか」などの反発がある。

 代々木公園では民間事業者が主体となって約3万人規模の新スタジアム構想がある。公園内には陸上競技場「織田フィールド」があり、国際大会では新国立競技場のサブトラックとして活用できないか協議していく。


2019年5月6日 5時0分スポーツ報知
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