2019年5月7日 14時0分スポーツ報知
高橋真梨子、70歳「まだ歌いたい曲ある」 ソロ50周年初のセルフカバーアルバム来月発売
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 歌手の高橋真梨子(70)が、6月12日に初のセルフカバーアルバム「MariCovers」を発売する。1979年から84年までに発表した初期の11曲を、大人のアレンジに変えて再レコーディングした。バンド「ペドロ&カプリシャス」の2代目ボーカルとして、73年に「ジョニィへの伝言」でレコードデビュー。半世紀近くを第一線で駆け抜ける高橋が、今作への思いを語った。(加茂 伸太郎)

 音楽が人生そのものだ。「すごくはないのよ。(私には)これ(=音楽)しかないんだから」。短いフレーズの中に、歌い手としての信念と覚悟が感じられた。

 「ペドロ&カプリシャス」の2代目ボーカルを務め、バンドを離れた後は、78年に「あなたの空を翔びたい」でソロデビューした。ポリシーは「謙虚に歩む」。毎日の積み重ねが、第一線で走り続けてこられた要因。高橋は「その通りで、ここまで来ちゃいましたね」と穏やかな口調で語った。

 長いキャリアの中で、セルフカバーアルバムを出すのは初めて。「レコーディングは必死でしたね。この年でまだ歌っているんだと思いながら。哀愁が湧く感じで歌ったかな」

 世代に関係なく、安らぎの時間として聴いてほしいという思いから、このアルバムの企画がスタートした。代表曲「for you...」を手がけた作詞・大津あきら、作曲・鈴木キサブローによる「BAD BOY」(81年)、柳ジョージ作曲の「この気分が好きよ」(82年)など、80年前半までの11曲が35年以上の時を経てリアレンジされて収録される。

 「(当時と比べたら)キーも下がる。歌も上手じゃないじゃない?(自分自身を)否定ばかりしないで、『今の年齢ならこれぐらいかな』と思ってみようと思ったの。70歳。若いもんだと思っていても、実際は年を取っている。今回レコーディングをして、70歳の、今の自分を認める初めての機会になりましたね」

 NHK時代劇「御宿かわせみ」の主題歌「祭りばやしが終わるまで」(83年)はレコーディングから36年間、ライブでも披露していない楽曲だった。「最初はあまり好きな楽曲じゃなかった(笑い)」が、リクエストが多数寄せられ、収録曲に決めた。初めて作詞・作曲した「Mary’s Song」(80年)は作詞家目線に立った時に思うところがあり、2番の詞を書き直して収録した。

 音楽プロデューサーで夫のヘンリー広瀬氏(75)は「オリジナルを超えていると思う。若い頃にできなかったものが芳醇(ほうじゅん)であり、熟成と呼べる。ビンテージの感じはワインと同じでしょう」。高橋は「澱(おり)が出ていたら困るわね」と笑った。

 シングル「for you...」(82年)がロングヒットした。「桃色吐息」(84年)を始め、「ごめんね…」「遥かな人へ」「五番街のマリーへ」など多数の代表曲を持つ。「音楽の殿堂」と呼ばれる米ニューヨークのアポロ・シアター(大ホール)では日本人唯一、3回公演(93、08、16年)を達成。17年のNHK紅白歌合戦に出場し、68歳9か月という紅組歌手としての最年長記録を持つ。

 インタビュー中、何度も「70歳だから」と口にした。年齢を言うことに抵抗がないという。「私がババアだっていうことを知ってもらいたいの」と語るが、その言葉とは裏腹に、自らを律して日々を過ごす。全ては、ステージに立ち続けるためだ。

(中略)

 昭和と平成の2つの時代を股に掛け、令和時代に入った。23年にはソロ生活50周年を控えるが、高橋は「(先のことは)あまり考えていないですね」とサラリと言った。

 幸いなことに体力、気力ともに維持できている。音楽への情熱が衰えない限り、生涯現役を貫くつもりだ。

 「まだ歌いたい曲がある。(レコーディングをしていて)この曲も歌いたい、この曲もやってみたいというのが出てきた。『MariCovers2』もやってみたい。この作品で、今の『高橋真梨子』を感じてほしいわ」

(おわり)