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――選手を指導する際、忍術とまったく同じトレーニングを利用することはありますか?

 「似通ったアイディアに基づくトレーニングは行っている。私が修得した『フェルデンクライス・メソッド』を利用しているんだ。これは柔道歴のあるイスラエルの学者が生み出した身体コントロール法で、忍術の稽古との共通点がかなりあるのさ。ケガをしてからの復帰も早くなるし、ケガの予防にも繋がるから、これらのトレーニングは選手の手助けになっている。実際、私のキャリアにおいてはケガに強い選手ばかりを育てているね」


――選手たちはあなたが忍術を稽古していたことは知っていたりするのですか?

 「いや、そこまでは。自慢することは好きじゃないし」


――同僚は知っていたりするのですか?

 「ある者は知っているけど、そこまで大きな関心を持たれることはないかな」


――偏見とかはあったりするのですか?

 「それはないよね。忍術の経験談はそこまで口にしないから、おおよその人はその話を聞いたらまずは驚くよ。でも、他人がそのことを知るかどうかなんて自分にとっては重要ではないからね」


――3年前にあなたは初めて来日したそうですね。憧れの日本はいかがでしたか?

「それはもう、とても興味深い経験だったよ! ザグレブ大学体育学部の博士課程の活動の中で、自分の研究発表をどこかしらで行う必要があったんだ。パブレ・ミクリッチ教官と相談して、2016年夏に筑波大学で『国際スポーツバイオメカニクス学会』(ISBS2016)が開催されることを知り、2人での出席を決めた。来日の第1の目的は学会発表だったけど、第2の目的は日本そして東京を自分の目で観たかったこと、そして第3の目的が千葉県野田市にある『武神館』の本部道場で幾度か稽古をつけてもらうことだった」