プレーボールのコールがかかり、まっさらなマウンドから第1球が放たれた瞬間。この投手がプロの素材であることは十分にわかった。

■山崎武司が厳選したセンバツの強打者9人。なかでも絶賛した選手は?

身長177センチ、体重75キロのサウスポーは、コンパクトながらバネ仕掛けのような躍動感のあるテイクバックから指先で強くボールを弾き、強烈なスピンのストレートを投げ込んだ。
捕手に向かって加速していくように見えるその速球は、相手打者のバットをことごとくかいくぐった。

左腕の名前は玉村昇悟という。多くの野球ファンが知らないのも無理はない。
福井県丹生(にゅう)郡越前町にある丹生高校という公立校のエース。これまで甲子園とは無縁、全国的には無名の存在なのだ。

4月20日、春季福井県大会1回戦・三国戦で玉村は快刀乱麻の投球を見せた。
大会タイ記録となる8者連続奪三振など、9イニングを投げて16奪三振。
出したランナーは振り逃げ1つと四球のみ。ヒット性の当たりを1本も許さなかったためノーヒット・ノーラン達成か……と思いきや、
四球で出したランナーが次打者の内野ゴロの打球に触れて守備妨害。
打球が当たったランナーはアウトになるが、打者は記録上「ヒット」となるため不思議な1安打完封勝利となった。

試合後、丹生の春木竜一監督は「ノーヒット・ノーランにならないのは悔しいですね」と笑いつつも、玉村の出来については「あんまりよくなかったと思いますよ。
ボールの走りもいつもよりよくなかったし、6〜7割の出来だったんじゃないですか」と答えた。

そして春木監督は、すぐ近くでクールダウンのキャッチボールをしていた玉村に、「だよね?」と尋ねた。
玉村は顔をしかめながら「全然ダメです」と応じた。すると傍らにいたチームメイトが「いらん変化球のフォアボールもあったしな!」とはやし立て、笑いが広がった。
その一連のやりとりから、丹生というチームのアットホームな雰囲気が垣間見えた。

偵察に来ていた高校のスピードガンによると、この日の玉村の最高球速は139キロだった。自身の最速である145キロには及ばない数字である。
だが、玉村の真価は球速だけでは測れない。軽い腕の振りでも捕手のミットに収まるまで勢いが死なない
球質のよさにかけては高校球界屈指だろう。
この日のバックネット裏には複数球団のNPBスカウトの姿もあり、すでに10球団が玉村の動向をチェックしている。

クールダウンを終えた玉村は、この日のピッチングを振り返ってこう語った。

「ボールが死んでいて浮くことが多かったですし、狙ったところにもいきませんでした」

以前までは、春木監督に言わせると「いつも『オリャ〜!』と全力で投げる男気ピッチング」だったという。
だが、春木監督の助言を受けながら経験を重ね、打者の顔色を見ながらピッチングに強弱をつけられるようになった。
玉村に「ペース配分」について聞いてみると、こんな答えが返ってきた。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190423-00010004-sportiva-base
4/23(火) 7:29配信

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https://www.youtube.com/watch?v=SfqMVMe5c7o
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