https://hochi.news/articles/20190417-OHT1T50052.html
2019年4月17日 10時57分スポーツ報知

大泥棒の手口のように、一瞬の早業だった。

1967年、モンキーさんは生みの親の編集者である清水文人さん(故人)から新作の構想を聞かれ、思わず「ルパン」と答えた。ルブランの名作小説「アルセーヌ・ルパン」シリーズを小学生の頃から読んでいたから何か描けるのではないか、と思っただけだが、清水さんの反応はイマイチ。ボツになったと落ち込んだ。

 数か月後、清水さんからの電話が鳴り「ルパンの原稿はどうした! 1週間で描け!」とまさかの怒号。突然の締切設定に困り果てたモンキーさんは、たった10分間でキャラクターの骨格を仕上げた。

 理想の女性像を全て投影したヒロインを思案すると、目に入った「霊峰富士カレンダー」から「峰不二子」と命名。「次元大介」は「事件大好き」をもじった。「銭形警部」は銭形平次…ではなく、故郷・北海道浜中町に岩場に生息するゼニガタアザラシから名付けた。全体的に洋風だから、バランスを取るために「石川五右衛門」も仲間入り。ルパンは当初、長髪にするつもりだったが、描く時間がもったいなくて短髪に。「せめてモミアゲぐらいは長くしようか」という思いつきがトレードマークになった。後年になり「ルパンと銭形警部の追いかけっこは、小さい頃から好きだった『トムとジェリー』がモデルです」と明かした。

 70年代、尊敬する先輩・手塚治虫と酒場で偶然会い「ルパン三世だけではダメですよ。もっといろいろ描きなさい」と言われた後は悩んだが、清水さんから「お前はルパンを描き続けろ。こんなキャラクターはもう生まれない」と諭され、ルパン一筋で生きる覚悟を決めた。

 連載開始から52年。あの10分間の思いつきのまま、一途に生きた。主人公のように盗むのではなく、自らの手で生み出し、育て上げた「ルパン三世」は生涯の宝物になった。

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