●ポルトガル人のジョゼ・モライス監督、過熱する隣国のライバル関係を諫める

浦和レッズと9日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)第3節で対戦する全北現代(韓国)が試合前日会見を行い、浦項スティーラーズ時代に浦和との対戦経験を持つMFソン・ジュノが「日本勢との対戦はいつも、自分たちは負けたくない、勝利したいというメンタリティーになる」と話した一方、ポルトガル人のジョゼ・モライス監督は「サッカーとは国と国の政治的なライバル関係を反映させるべきものではない」と諫めた。

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 全北はここまで1勝1敗で、浦和(1勝1分)を勝ち点1差で追っている。チェルシーやレアル・マドリードでジョゼ・モウリーニョ監督のアシスタントコーチを務め、今季から全北現代を率いるモライス監督は、「素晴らしいクオリティーのチーム同士の対戦であるから、素晴らしい試合になることを期待している。韓国のナンバーワンチームとして勝者のメンタリティーを持っていることが、戦術よりも重要なこと。二つの大きなタイトル(リーグ戦とACL)があるが、両方を取れるような戦い方、一つの勝利に向かって全力を尽くしたい」と話した。

 ACLでは第3節と第4節が、同じ相手とのホーム&アウェーになる。今季に関しては偶然にも、東地区の4グループすべてで、このタイミングが日韓対決になった。それについて問われたソン・ジュノは、2016年のACLで浦項の一員として浦和と対戦した経験を踏まえてこう語った。

「浦項に所属していたので、浦和と対戦している。その時に浦和のパスやポゼッションにかなり戸惑った。その時の選手がまだ所属しているので、明日は注意しなければいけない。日本勢との対戦はいつも、自分たちは負けたくない、勝利したいというメンタリティーになる。最大限に集中して、勝利に貢献するパフォーマンスをしたい」

 一方のモライス監督は、直後の質問を受けた際に「一つ前の質問に戻ることを許してほしいのだが……」と切り出すと、そうしたライバル関係に対して異なる見解を示した。

「このスタジアムに着いた時、スポーツ・フォー・ピースと書かれた旗が浦和の旗とともに掲げられているのを見て非常に嬉しく思った。サッカーとは国と国の政治的なライバル関係を反映させるべきものではない。我々が技術を磨き、練習をしてサッカーをする目的は勝利に集中すること。試合は喜びであり、楽しみであり、エンターテインメントだ。ライバル関係のものではない。これが私の考え方だ」

アジアサッカーの成長を実感 「良いサッカーは欧州ビッグクラブだけのものではない」

 過熱しがちなACLの日韓対決は、浦和の絡んだゲームでもこれまでトラブルが起こってきた。ソン・ジュノは浦項時代の浦和とのホームゲームは欠場したものの、その試合ではPK判定を巡ってトラブルとなり、試合後に浦項の選手がテーピングをピッチに投げ捨てたことを契機に両チームが一触即発の事態になった。モライス監督は、そうした対立関係を煽るような関係性が望ましいとは考えていないことを明らかにしている。

 モライス監督はジョゼ・モウリーニョ監督のアシスタントコーチとして欧州各国を渡り歩いたのち、今年1月から全北現代を率いている。東アジアでは初の指揮となるが、アジアサッカーについて「近年のアジアサッカーはヨーロッパに似ているようなチームが増えてきた。テクニカルでインテンシティーもスピードも高く、かなり成長している。良いサッカーは欧州のビッグクラブだけのものではなく、アジアの中でも良いサッカーというものを自分たちが努力すれば表現できることを証明したい」とも話した。

 浦和は浦項戦があった翌年、ラウンド16の済州ユナイテッド戦で試合中に相手の控え選手がピッチに乱入しMF阿部勇樹に肘打ちを見舞い、試合後にはDF槙野智章らが追い回されるという衝撃のトラブルに巻き込まれた。とかくそういった問題が起こりがちな日韓対決だが、ポルトガル人指揮官の語るようなサッカーに対して冷静かつ熱い試合が見られることを期待したい。

4/8(月) 18:02配信 フットボールゾーン
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