2019.4.6
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イチロー氏(右)が尊敬する王氏は国民栄誉賞第1号だが(AP)

 前人未到の偉業で世界から称賛を集める大リーグ・マリナーズのイチロー氏(45)。先月末に現役引退を表明したことを受けて、政府では国民栄誉賞を検討していたが、イチロー氏が辞退したという。固辞はこれで3度目。「令和」時代での第1号授与として文句なしの逸材だったが、そこは孤高のスーパースター。彼なりの信念、流儀、哲学があるようで…。

イチロー
 まさかの“お断り”だ。日米通算4367安打、メジャーでのシーズン最多安打、10年連続200本安打と、今後誰からも抜かれないであろう記録で世界を席巻したイチロー氏。菅義偉官房長官は5日の記者会見で、イチロー氏から国民栄誉賞の受賞を辞退すると代理人を通じて連絡があり、授与の検討を見送ることにしたと明らかにした。

 イチロー氏は小泉政権時代の2001年、マリナーズで首位打者、盗塁王の2冠に輝いた際に打診されたが「まだ年齢が若い」ことなどを理由に固辞。04年にも262本というシーズン最多安打の偉業で打診されたが、「プレーを続けている間に国家から表彰を受けるとモチベーションが下がり、ピークが終わったと受け取られるとファンに申し訳ない」と断った。

 政府としては3度目の正直だったが、まさかの空振りで三振状態に。本人の心境について、メジャーに詳しい関係者は「まだ野球人としてやり残していることがあると思っているのだろう。彼らしい」とした上で、こう語る。「政府からの授与となるとどうしても政権による政治利用という意見が出る。そういうことにも煩わされたくないのでは」

 国民栄誉賞は1977年、巨人の王貞治・現福岡ソフトバンクホークス球団会長(78)が本塁打の世界記録756号を達成したことを機に創設された。2013年にはヤンキースで活躍した松井秀喜氏(44)と、巨人の長嶋茂雄終身名誉監督(83)が授与されている。