開幕して1週間が経つ。しかし、藤嶋健人はボールすら握っていない。

プロ2年目の去年、鮮やかにブレイクした。4月に初登板を果たすと、6月には松坂大輔の先発回避の窮地を救い、初勝利。シーズン後半にはローテーションに入り、3勝を挙げた。

オフにはイベントやメディアに数多く出演。「来季の目標は完投。信頼されるピッチャーになりたい」と公言していた。ファンも本人も大きな期待を寄せて、2019年が始まった。

「妙に右手がスースーするな」

それは成人式だった。

「故郷の豊橋市内の体育館で同級生と一緒に参加しました。新調したスーツを着て、じっと座って、祝辞を聞いていました。すると、妙に右手がスースーするなと」

違和感は冷感に変わった。

「氷水に手を突っ込んでいる感じです。とにかく冷たい。だんだん痺れも出てきました。見ると、真っ白。
その後、親指、人差し指、中指、薬指、小指の順番で感覚がなくなったんです。これはやばいと思い、ポケットに手を突っ込みました」

しかし、全く治まらない。

「舞台上で成人代表の挨拶をしたんですが、紙を持つ右手だけが痛くて痛くて」

携帯電話で「血行障害 症状」と検索した。願いむなしく、ほぼ全て該当した。

「認めざるを得なかったです」

しかし、藤嶋は決断した。隠そうと。

「今年が大チャンス。暖かい沖縄キャンプが始まれば、きっと改善する。あの時点で現状を報告する勇気はありませんでした」

1月15日からナゴヤ球場で合同自主トレが始まった。年が明けて初めて顔を合わせる選手もたくさんいる。

「握手するのが怖かったです。血行障害がばれるんじゃないかと。『おい、冷たいぞ。大丈夫か?』と言ってくれる先輩もいましたが、『寒いですからね』と笑顔でごまかしていました」

結局、良化しなかった。

「キャッチボールはヘロヘロで、ノックの時は右手に手袋をはめていました。ブルペンなんて全く入れない。冷たいし、痛いまま。さすがに沖縄へ出発する前日に離脱を決めました」

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http://npb.jp/bis/players/21625134.html
成績

http://news.livedoor.com/article/detail/16264649/
2019年4月4日 11時0分 文春オンライン