ベルギーに戻った冨安健洋が今季終盤を戦うのは、ベルギー1部7〜15位チームが参戦するプレーオフ2。
優勝すれば欧州リーグ(EL)予備戦2回戦に出場できる可能性もあり、絶対に負けられない戦いだ。
「プレーオフ1に行けなかったショックは大きいけど、今はもう切り替えています」と語る身長187センチの大型DFには、
今夏の欧州ビッグクラブ移籍の噂もある。その動向が大いに注目されている。

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「スタメンリストを作る際、真っ先に書くのがトミヤスの名前だ」と今季からシントトロイデンの指揮を執るブレイス監督がコメントしたというほど、チーム内で重要性を高めている冨安。
アジア杯期間の3試合を除き、今季リーグ戦27試合フル出場を果たしているのを見ても、その存在価値の大きさがうかがえる。

今季欧州CLに参戦していたベルギーの強豪ブルージュとの3月2日の対戦でも、
3バックの右DFに陣取った冨安は今季リーグ10得点の大型FWモラエスにしっかりと体を寄せ、自由を奪いながらシュートコースを消していく。
今季11ゴールのMFファナケンの決定機では、ガラ空きになったゴール前に体を投げ出してブロック。
絶体絶命のピンチを堂々と阻止してみせた。試合は0―1の敗戦となったが、冨安がいなければ、もっと大差がついていただろう。

■欧州5大リーグにステップアップ

「今夏の欧州移籍市場では高額の移籍金で5大リーグにステップアップするだろう」と現地メディアの間でも評判になる圧巻パフォーマンスを見せている冨安。
「昨夏7億円程度でオファーを出したブレーメンの獲得オファーは拒否され、現在、評価額は13億円まで急騰している」という報道もある。
彼が小5から通った福岡バルセロナスクールの指導者だったパランコ・コーチ(C大阪)がスペイン行きを勧めたほどの傑出した才能は、ここにきて大きく開花しようとしている。

問題は冨安がどんな道をたどるか、だ。2012年夏にVVVフェンロからサウサンプトンに移籍した吉田麻也、
あるいは今年1月に鹿島からトゥールーズに赴いた昌子源のように新天地ですぐ出場機会を得られればいいが、
移籍したチームの指揮官が20歳の日本人DFに信頼を寄せてくれるか、こればかりは分からない。

冨安自身は語学力に磨きをかけており、3月の日本代表2連戦の際には外国人メディアに囲まれると英語でやりとりしていたが、
英国以外の国では意思疎通も容易ではない。最も飛躍できるクラブはどこなのか、じっくり吟味すべきだろう。

ともあれ、彼の身辺が慌ただしくなるのはこれから。まずはプレーオフ2で勝ってEL出場権を獲得することが先決だ。
「チームの目標のために全力でやることが自分の成長につながる」

そう言い切る大型DFの終盤戦に注目したい。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190329-00000013-nkgendai-socc
3/29(金) 9:26配信