[ 2019年3月15日 05:30 ]
ピエール瀧容疑者“紅白内定”取り消し 「電気グルーヴ」30周年集大成のはずが… 大河収録中も摂取か

 コカインを摂取したとして麻薬及び向精神薬取締法違反(使用)容疑で、12日に関東信越厚生局麻薬取締部に逮捕された、ミュージシャンで俳優のピエール瀧こと瀧正則容疑者(51)が14日、勾留先の警視庁東京湾岸署から送検された。所属する「電気グルーヴ」が、大みそかのNHK紅白歌合戦への出場を確実としていたことが判明する一方、大河ドラマ「いだてん」の収録中に薬物摂取していた可能性も浮上した。

 瀧容疑者はこの日午前10時1分、車の後部座席に座り報道陣約70人の前に現れた。グレーのスエット姿で前を向いていたが、車が報道陣の前で約10秒止まると、うなだれるように下を向いた。

 麻薬取締部によると瀧容疑者は調べに対しはっきりと受け答えしており「憔悴(しょうすい)した様子も見受けられない」という。しかし逮捕により失った代償は大きかった。本業の音楽ユニット「電気グルーヴ」が逮捕前の段階で、紅白に“内定”していたことが分かった。

 瀧容疑者は「いだてん」への出演をはじめこれまでも「あまちゃん」「とと姉ちゃん」「64」など、多数のドラマ出演でNHKに貢献。そして今年、結成30周年を迎えたユニットは2月、紅白の“登竜門”とされる音楽番組「SONGS」(土曜後11・00)に満を持して初出演した。

 音楽関係者は「その内容が局内で評価され紅白出場への手形が切られた。特に瀧容疑者は、他の企画への参加など番組の顔の一人として話が進んでいたと聞く」と話す。しかしこの日までに、SONGSのホームページからは、電気グルーヴの名が放送リストから削除された。同時に「サブカルチャーのカリスマ」が紅白の舞台に立つ夢も立ち消えた。

 そのNHKの期待をさらに裏切るかのように、瀧容疑者が大河ドラマの収録中に薬物を使用していた可能性も浮上した。瀧容疑者の自宅からは鼻から吸引するために用いたとみられる丸めた韓国のウォン紙幣が押収された。これは常習者がする「スニッフィング」と呼ばれる使用法だ。麻薬取締部が比較的短い半年間の内偵で家宅捜索に踏み切ったことなど、常習性の高さがうかがえる状況が複数明らかになっている。

 コカインの摂取時期については明らかになっていないが、逮捕された当日も「いだてん」の撮影を行っており、捜査関係者は「現場で収録の合間に吸引することも可能だったとみている」と指摘した。周囲では「仕事が忙しすぎて気持ちをコントロールできず薬物に走ったのでは」との声も上がっている。同部ではコカインの使用目的も含め、入手経路や使用状況など慎重に調べを進めている。

 ≪ノート押収も「関連性なし」≫麻薬取締部が、瀧容疑者の自宅から殴り書きのような字体のメモが残されたノートを押収していたことが分かった。瀧容疑者のものとみられ、麻薬取締部は押収した携帯電話の履歴などとともに調べたが「事件との関連性はなかった」としている。

 ≪ゴミまで回収、おとり捜査もOK…チーム組んで内偵進める麻取≫昨秋から半年間かけて瀧容疑者を内偵していた麻薬取締部は入念な裏付け捜査を行った上で逮捕に踏み切る。通常は6人ほどのチームで行動しており、元麻薬取締官の廣畑徹氏は「家庭から出たゴミまで回収して薬物反応を調べる」という。通称「麻取(マトリ)」と呼ばれ、全国12カ所の地方厚生局とその分室に捜査の拠点を置く。内偵者が旅行などに出かけた際には、全国の麻薬取締部と連携して行動確認を行う。身分を隠して麻薬を譲り受け、密売人を検挙するおとり捜査を行うことも認められている。


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