久保建英である。

 これまで、あちこちで聞かれてきた。「彼は本物ですか?」。そのたびにわたしは答えに詰まった。まだわからない、としか答えようがないからだ。だが、いまなら言ってもいいような気がする。少なくとも、昨年よりははるかに強い確信を持って言える。

 久保建英は、本物だ。

 世代的に考えて、おそらく彼のアイドルはメッシだろう。だが、W杯における日本の立ち位置を鑑みれば、期待されるのはマラドーナ的役割だ。チーム力では劣っても、自分が勝たせる。そんな気概を持った選手に、久保にはなってもらいたい。

 17歳のマラドーナは、78年W杯のメンバーから外された時、名将メノッティに「一生許さない」と噛(か)みついた。一人でチームを勝たせたのは、そんなメンタリティーを持った男だった。(金子達仁氏=スポーツライター)
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