【前田幸長 直球勝負】巨人の新戦力・岩隈久志投手(37)は沖縄キャンプで黙々と調整中だ。先の宮崎キャンプでは右ふくらはぎの違和感で
別メニュー調整となったが、徐々に回復している。身も心もオレンジ色に染まったメジャー帰りのベテラン右腕を本紙評論家の前田幸長氏が直撃。
気になる仕上がり具合や巨人の看板を背負う覚悟を赤裸々に明かしてくれた。

 自分自身と闘っている――。沖縄キャンプで調整中の岩隈と話をした時、そう感じた。現在はブルペン入りしているものの立ち投げに加え、
マウンド手前の平らなところから捕手を座らせて投球練習を行っている段階だ。

 久々に顔を合わせた岩隈に「野球のほうは実際どうなの?」とストレートに質問を投げかけてみた。すると彼は真剣なまなざしでこう答えた。 

「立ち投げを何度かやっているのですが、全力で腕が振れるようになってからですね。まだ何とも言えないです」

 マリナーズ時代の一昨年秋に右肩を手術。以来メジャーでの登板が一度もない中、新天地で戦力になるべく一歩ずつ慎重に歩を進めている。
宮崎キャンプでは右ふくらはぎの違和感を訴えて別メニュー調整が続いたが、温暖な沖縄に場所を移したこともプラスに働いてコンディションが
上向いているのは間違いない。

 それでも今はまだ全力で腕が振れていない。どうやら、その“壁”にもどかしさを覚えているようだ。

「やはり体が一番ですから。いつまでにブルペン(で投げるとか)もしくは捕手を座らせてとか、バッピ(打撃投手)をするとか…。
自分の中でそういう設定はしていないです」

 そう語った岩隈の表情を見ると、何となくジレンマを覚えているようにも映った。首脳陣から「焦る必要はない」と念押しされているとはいえ、
やはり新戦力として期待されている以上は一刻も早く完全復調の姿をアピールしなければならない。責任感の強いベテラン右腕だからこそ
自分の胸にそう言い聞かせていることは手に取るように分かった。

「ジャイアンツに来たということで当然期待されていますし、結果が出なかったら叩かれることは覚悟しています」

 その言葉を聞き、とても安心した。正直に言えば今キャンプでの調整ぶりを見る限り、開幕一軍は絶望的と言わざるを得ない。ただし岩隈は
“壁”さえブチ破れば、チームにとって計り知れない戦力になる。それは誰もが分かっているし、認めているはずだ。

 最後に一軍のマウンドに立ってからの青写真についても聞いてみた。中6日でローテを回りたいのか。それとも余裕を持たせてもらう形で
中10日ぐらいで“投げ抹消”されるようなパターンがいいのか。

「そこは、もうチームの流れに従うというところだと思います」

 オファーを受けてから熟考した末に1か月ほど悩み抜き、ジャイアンツ入りを決意した。その理由について岩隈は「新鮮な気持ちでやりたかったんです」
と私に言い切った。ベテラン右腕の猛チャージはここからだ。

東スポWEB
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