平成最後のセンター試験が1月19日と20日に行われた。入れるものなら入りたいと誰もが望む、東大。しかし、世間から羨望の眼差しを受ける一方で、生き辛さを感じる東大女子もいる。

 芸人の石井てる美さんは、東大卒業後に大手外資系コンサルティング会社・マッキンゼーに入社するも、1年で退職。芸人へと転身した。

 「自分が何をしたいかはさておき、すごいところから内定をもらって浮かれていた」と振り返る石井さん。しかし、入社後にリーマン・ショックが起こり、必要以上に大きなプレッシャーからうつ状態になってしまった。

 石井さんは「東大生って何も悪いことをしていなくても悪口を言われる。期待値がすごく高いから、普通に仕事をしていても『東大だからもっとできるかと思った』と言われる」と会社員時代のエピソードを紹介。

 芸人として、自身の持ちネタであるヒラリー・クリントンのモノマネをオーディションで披露した際にも審査員から「君は東大だからまだ自分を捨てきれていない」と言われ、「東大は関係ない!」と強く主張した。

 また、中学生の頃からうつ病を患っていた東大出身の杉山奈津子さんは、保健室で出会ったうつ病の本に救われ「東京の出版社に行って自分も本を出したい」と決意。母親から「国立じゃないとダメ」と言われ、自身も「“東京大学”だから東京にあるんだろう」と思い、東大を受験した。努力の結果、見事、東京大学薬学部に合格できた。

 しかし、本を書きたくて上京した杉山さんは、周りと同じような働き方に納得できず、卒業と同時にニートの道を選択。周囲から「東大を出たのにもったいない」と言われながらも、うつ病に関する本を出版した。

 働くアラサー女性のためのニュースサイト『ウートピ』編集長の鈴木円香さんは「東大に入ったら何にでもなれるというのが間違っている」と指摘。進路選びのときにも、成績がいいから「とりあえず東大」という指導があると話した。その上で「やりたいことがないなら東大にいかなくてもいいのでは」と持論を述べる。

東大に入ったことで、高まる周囲からの期待。誰もが知っている大手企業に就職してしまったら、その“舞台”からなかなか降りられない空気があるのも事実だ。

 2015年には、東大卒のエリートだった電通社員の女性が、過重労働の末に自ら命を絶ち、物議を醸した。なぜ彼女は、辞めることよりも死を選んだのだろうか。

 『東大を出たあの子は幸せになったのか「頭のいい女子」のその後を追った』(大和書房)を出版したルポライター・樋田敦子さんは、東大を卒業後、過重労働の末に自ら命を絶った電通社員の高橋まつりさんに言及。

 2015年のクリスマスに24歳という若さで命を絶ったまつりさん。まつりさんは母子家庭であり、決して裕福な環境とは言えなかった。勉強ができて周囲からの期待も高かった。樋田さんが、まつりさんの母親を取材すると「ずっと頑張ってきて、ああいう事件が起きてしまった。私がもっと楽にしてあげればよかった」と話していたという。

 諦めることが苦手で、真面目で努力家な東大女子たち。タレントのSHELLYが「自殺する前に(会社を)辞めればいいっていうけど、そんなに簡単なことじゃない。いろいろな期待やプレッシャー、重圧の中で彼女の選択肢がそれしかなかった」と話すと、東大卒の石井さんも「(東大の卒業生は)今まで頑張って東大に入ってここまできている。逃げられない」と共感した。

 東大出身というだけで、過度に期待をされたり、偏見を持たれたりすることも、往々にしてあるようだ。(AbemaTV/Newsチャンネル)

2/16(土) 17:11配信
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