熾烈な競争で知られる医学部受験において、ほぼ確実に医師への道を目指せる高校が
存在する。岡山県倉敷市にある川崎医科大学附属高等学校だ。国内唯一となる医科大
学の附属校だ。推薦制度を利用して毎年生徒の9割近くが川崎医科大学医学部へ進学
する。
一般入試とは別に内部生向けの特別推薦入試によって、昨年度は附属校の卒業生24
人中20人が同大医学部に進学した。不合格でも翌年もう1度受験が可能で、さらに他
大の医学部に進学した生徒も含めれば「9割5分は医学部に進む」(同校の新井和夫校
長)という。
教育も学費も「医学部級」
附属校は1970年、川崎医大と同時に開校した。医学部入学を前提とした高校だけあ
って、3年間みっちり医学漬けの学生生活を送る。とりわけ総合学習の時間では、現
役医師による講演や病院での実習、高校生向けに平易にアレンジした医学部講義など
、高校生のうちから本物の医療に触れられる「ドクターロード」という授業を設けて
いる。
附属校最大のメリットは「現役で医学部に入学できること」(新井校長)。この推薦
制度は生徒だけでなく親にとっても魅力的なシステムだ。浪人が当たり前の医学部受
験では、生徒だけでなく親にとっても相当な精神的プレッシャーがかかる。「上の子
の医学部受験で『こんな苦労はもうこりごり』と感じた両親が、下の子を附属校に入
学させる」(医学部専門予備校関係者)ことも多いという。
附属校の偏差値は60台前半で、倍率も2倍ほど。大学の医学部入試の熾烈さを考えれ
ば、高校で附属校を狙うのも悪くない選択肢だ。 z