世界のサッカーマーケットは、ヨーロッパを軸にまわっている。トップレベルのプレーヤーにとって、中東は第2、第3の選択肢といった位置づけだろう。

 元スペイン代表のシャビ、元オランダ代表のウェスレイ・スナイデル、元カメルーン代表のサミュエル・エトーといったかつてのワールドクラスがリーグのクオリティを高めているものの、カタールはヨーロッパのトップリーグにまだまだ及ばない。

 ポルティモネンセで世界的なビッグクラブからも注目を集めるようになった中島の新天地としては、率直にもったいなく映る。24歳という年齢を考えても、ヨーロッパでキャリアアップを探ってほしかったとの意見は根強い。

◆CLよりも「サッカーを楽しめるクラブ」。

 昨年10月にナンバー本誌のインタビューを受けた中島は、今冬の移籍について「行きたいチームは、もちろん何チームかあります。ポルトガルでやる選択肢もありますし、他の国へ行くこともありますね」と、語っていた。

 複数のオファーがあった場合の判断基準については、「ヨーロッパのビッグクラブでチャンピオンズリーグとかに出るのも、それは楽しそうだなと思います。けれど、まずはやっぱり自分に合ったクラブ、サッカーを楽しめるクラブですね。自分の良さを出せるか、チームとの相性はどうなのか、そういうところを見極めるのも大事だと思います」と明かしている。

 中島が加入したアル・ドゥハイルには、アジアカップで得点王とMVPに輝いたアルモエズ・アリ、直接FKが得意なセンターバックのバサム・アルラウィ、底知れぬスタミナを持つボランチのアシム・マディボらの代表選手が所属している。また、中島と同じタイミングで、モロッコ代表の最終ライン中央を支えるメディ・ベナティアが移籍してきた。

◆W杯に向けてカタールでのプレーはプラス。

 カタールは2022年のW杯開催国だ。来るべき大舞台に備えてカタールでプレーすることには意味があり、ACLでサウジアラビア、UAE、イラン、ウズベキスタンといった国のクラブと対戦することは、日本代表の活動にもプラスに働く。各国の代表クラスのプレーを日常的に肌で感じ、中東でのアウェイゲームに時差や移動の影響を受けることなく参加できる。

 アル・ドゥハイルの保有戦力に不足はなく、日本代表での活躍につながる国際的な経験を積むことができる。1月に就任した新監督も凄腕だ。

 ポルトガル人指揮官のルイ・ファリアは、インテル・ミラノ、レアル・マドリー、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドでジョゼ・モウリーニョのアシスタントコーチを務めてきた。監督の肩書きを持つのは今回が初めてだが、知識と経験が豊富な43歳との出会いは、中島の成長を手助けしていくのではないだろうか。

 ファリア監督との関係については、中島も好感触を得ているようだ。

 「監督とは移籍が決まる前に何度か話して、『チームに来て欲しい』と言っていただきました。普段からとても良い人で、友人のように接してくれる部分もあるので、ピッチ内でもとてもやりやすさを感じています」

◆PSG移籍の道筋は「断言できない」。

 中島とアル・ドゥハイルの契約は、4年半と伝えられている。しかし、カタールの投資ファンド『QSI』が所有するパリ・サンジェルマンが、今シーズン終了後の移籍市場でこの日本人MFの獲得に乗り出すのでは、との憶測も飛び交う。

 中島のマネジメント担当者によれば、「パリへの移籍への道筋がついているとは断言できない」という。ただ、カタールからもう一度ヨーロッパへ乗り込むことは、「もちろん頭に入っている」とのことだ。

 アル・ドゥハイルの社長は中島に大きな期待を寄せており、彼の将来性にも理解を示している。まずはとにかく新天地で結果を残し、そのうえでオファーが届けば中島の意思を尊重する可能性はありそうだ。

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Number 2019/02/12 11:00
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