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細木数子をテレビから「消した」一冊のノンフィクション作品:溝口敦 「細木数子 魔女の履歴書」


視聴率の女王の正体! 2008年春、戦後の欲望史を象徴する稀代の女ヤクザが、ついにテレビから姿を消した! 
細木数子70歳。古希とともに魔女の時代は終焉を迎えた。本書は、細木の絶頂期に「週刊現代」で連載、6億円の
損害賠償訴訟を起こされながらテレビ降板へと追い込んだ渾身のルポルタージュである。

細木数子って、いましたよね。なんか「地獄に落ちるわよ」とか罵る芸風のでっかいおばちゃん。
あの人、テレビにまったく出なくなりましたが、その理由は、この本を読めばわかります。

著者はヤクザ業界の取材に強い、硬派なジャーナリスト溝口敦氏。説明文に「女ヤクザ」とありますが、本
書はそんな著者が、「細木数子」とヤクザとの根深いつながりについて解き明かした意欲作です。
細木数子をテレビから消した作品、といっても過言ではありません。


実は「女ヤクザ」だった「細木和子」

あんなにテレビに出てたのに、まじでヤクザ関係なの?
という疑問はもっともですが、著者は丁寧に人脈を解き明かしていきます。
さすがこの分野に強い溝口敦氏、切り込みまくってます。

堀尾を核として発したヤクザ人脈は現在も続き、細木は今なお広域暴力団の首脳や最高幹部、元最高幹部らと親しく交際している。
細木が袖の下からのぞかせる暴力団臭は実態があり、細木と向き合う者に脅威を与え、その者の腰を引かせる。テレビ番組で共演する
芸能人が細木発言に反論せず、おとなしく従う理由の一つに暴力団への恐怖がある。へたに逆らうと、番組終了後、何をされるか分からないという思いが彼らにはある。
それが視聴者の目に、細木をいっそう偉そうに見せる上で有効に働いている。