サッカー日本代表の新エース・中島翔哉(24)が約44億円で、ポルトガルのポルティモネンセからカタールのアルドハイルへ移籍した。
元日本代表の中田英寿(42)の約32億円を超え、サッカーでは日本人最高の移籍金額とみられる。

中島は昨年のワールドカップ(W杯)ロシア大会には出ていないが、新しい日本代表ではエースナンバー10番を背負う期待の選手。
現地で2月5日に会見した中島はカタール移籍について、「全てが魅力的だった」と意気込みを語った。

ポルトガルで活躍していた中島は、欧州の強豪チームに移る可能性もあった。それだけに、世界的に見れば決してレベルが高いとは言えないカタールへの移籍は、
「ステップダウン」という印象もある。本人はブログでそうした見方を否定し、自分のプレースタイルに合うチームなので自ら選択したと強調している。

サッカー選手の代理人を務める良藤辰夫さんは、中島の選択を評価する。
「44億円という日本人選手にとって未知の領域に踏み出したことは、次に続く選手たちにとって大きい。同レベルの選手たちの評価額にも影響を与え、最終的にはJリーグにも利益をもたらすでしょう」

日本人選手が高く評価されるのはうれしいが、カタールのチームの狙いはなにか。近年、カタールは豊富な資金を背景に世界から人材を集める。
サッカーでも代表チームが、今回のアジア杯で日本を破り優勝。2022年の自国開催のW杯に向け、サッカー熱はさらに高まる。

「今回の中島選手の獲得に費やした44億円は、サッカーで単純にペイしなくてもいいのです。例えば、クラブのオーナー自らが行っている事業をうまく運ぶために、
『我々はこんなハイレベな選手を持っているから安心してビジネスができますよ』と、内外にアピールする狙いもありそうです。
王族でもあるオーナーがメンツや趣味のため、採算は度外視で、巨額のお金を投入することもあります」(良藤さん)

スペインの名門チーム「レアル・マドリード」で働いたことがあるスポーツコンサルタントの酒井浩之さんは、欧州サッカー界の厳しいルールを指摘する。

「欧州サッカー連盟は、チームの財政健全化のために厳しいルールを定めています。収支がマイナスになると、何かしらのペナルティーを受けます。
欧州チャンピオンズリーグに出場できなくなる可能性もあります。中島選手の移籍先としてうわさされたチームも、そういったルールによる資金的な制約もあって、獲得を断念したのではないでしょうか」

中島はカタール移籍について自ら選んだとしているが、別のサッカー関係者は声をひそめる。

「中島選手の代理人がカネにこだわっているんです。以前は日本人の代理人が中島選手を担当していましたが、ブラジル人の代理人に変わりました。
結局、代理人が高く売れるところに選手を売っただけのこと。完全にカネですよ。もちろん中島選手は移籍先をカネで選んだわけではないとしていますが、代理人の金もうけに利用された面があります」

一方、今回の移籍は、中島がフランスの名門「パリ・サンジェルマン(PSG)」に移籍するための布石とも言われている。
ブラジル代表ネイマールなど世界的名手をそろえるPSGは、カタールの投資会社がオーナーで、中島の移籍先のアルドハイルのオーナーとも親しいとされる。将来“レンタル”の形式で、PSGでプレーすることもうわさされる。

巨額のカネが注目された今回の移籍だが、カタールでプレーすること自体は、中島にとってマイナスではない。
「アルドハイルを指揮する監督のルイ・ファリアは、名将ジョゼ・モウリーニョの下で長年アシスタントコーチを務めていた。コンディショニングや練習メニューは彼が考えていたとされます。

中島選手が彼の下でトレーニングできることは大きい。チームの所属選手には、アジア杯で優勝したカタールのエースで得点王のアルモエズ・アリや欧州の強豪チームでプレーした選手もいます。
中島選手にとって十分得るものがあると思います。ただ2年も3年もチームに居続けるのは、将来のステップアップが難しくなりかねません」(良藤さん)

日本のエースとして、期待が強まる中島。果たして、この移籍が吉となるか凶となるか。もうすぐ見られるアルドハイルでのプレーに注目だ。

2/9(土) 15:00配信 AERA
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190208-00000098-sasahi-socc&;p=1

写真
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