海外サッカー
コラム
ドイツこぼれ話

◆鈴木智貴(すずき・としき) 1981年、静岡県天竜市(現浜松市天竜区)生まれ。日大卒。日本でのサラリーマン生活を経て、2010年7月よりドイツ在住。ドイツサッカー連盟公認C級(UEFA−B級)指導者ライセンス取得。アキレス腱断裂と半月板損傷による2度の手術を受けながら、アマチュアリーグでプレーを続ける現役。
https://www.nikkansports.com/soccer/world/column/germany/news/201902020000278.html

2019年2月2日16時5分
元ドイツ代表ザマー氏、代表もクラブも将来に危機感


ドルトムントの外部顧問を務めるマティアス・ザマー氏が、自国の将来に危機感を抱いている。

専門誌「スポーツビルト」によると、先月末にデュッセルドルフで行われたスポーツビジネスのイベント「SPORBIS」に出席したザマー氏は、昨年のワールドカップ(W杯)ロシア大会で惨敗に終わったドイツ代表、そして近年ブンデスリーガ勢が欧州チャンピオンズリーグや欧州リーグで好成績を残していないことについてコメントを求められ、「アイデンティティーはどんな時も必要だ。しかしドイツサッカーは、自分たちのアイデンティティーを失っているような印象を受けている」と話したという。

また「現状では、我々はナチョナルチームでもクラブレベルでも、他の者たちにイニシアチブを取られている」と見ている同氏は、「ドイツサッカーは常に、“勝者のメンタリティー”と“不屈の精神”のイメージを持たれていた。ここに、高い個のレベルとセンスも多分に含まれるようにならなければならない」と続けた。

ザマー氏は現役だった1996年にドイツ代表メンバーとして欧州選手権優勝を果たしており、当時の指揮官ベルティ・フォクツ監督が「(特定の個人ではなく)このチームこそがスターだ」という言葉を残したのは有名な話。しかし同氏は恩師の格言に懐疑的な見方をしているようで、「それでは個が壊されてしまう。ベストなチームというのは、ベストな個、ベストなチームプレーヤー、そしてベストなリーダーがそろい、それらがうまくミックスされなければ成り立たない」と自論を展開。「個はチームを強くする。ドイツサッカー界にはまずまずの選手がそろっているが、我々にはまだ非常に多くのポテンシャルがあるはずだ」とコメントしている。