NPB傘下の12球団のうち、広島東洋カープ以外の11球団が、それぞれコンセプトの異なるチアチームを持っている。
踊りの技術を重視するチームもあれば、アイドル顔負けのファンサービスが売りのチームもあり、個性はさまざまだ。

そんなバラエティ豊かなチアチームだが、業務内容や給与面で球団ごとの違いはあるのだろうか。某球団でチアガールをしていたアユミさん(仮名、25歳)は、次のように説明する。
「基本的にはセ・リーグでもパ・リーグでも、どの球団でも仕事は同じですね。人気のチームだと雑誌やラジオへの出演、地方の球団ではローカル番組に出ることもあると聞きますが、
球場内での業務は変わらないと思います。でも月収は結構違いますね。ネットで『チアガール 給料』と検索すると『日給1万5千円』などと出てきますが、
あれは公表できるごく一部の高給チームだけで、実際の相場は日給8千円前後。拘束時間は日によって変わりますが、平均10時間程度なので、時給に換算すると800円にしかなりません」

時給800円とは、プロ野球球団の本拠地がある11の都道府県のうち、宮城県の798円を除く全県で最低賃金を下回る。
しかも、彼女たちが出勤するのは、所属する球団の主催試合の時のみ。そのため、ホームゲームが少ない月は月収が10万円以下ということもあるという。

「私の所属していたチームは日給1万5千円と給料は良かったのですが、その代わり球団が主催するチアダンススクールの講師以外のバイトの掛け持ちは禁止されていました。
だから出勤回数が少ない月は、時間はあっても働けず、かなり厳しい生活でしたね」結局、どの球団に所属していたとしても、チアガールの待遇が厳しいことにかわりはないのだ。

◆セクハラや女の嫉妬は日常茶飯事
 
小学2年生からダンスを習っていたエリカさん(仮名、26歳)は、踊ることを活かした仕事に就きたい一心で、高校を卒業すると某球団のチアガールオーディションを受験。
見事合格を勝ち取り、明るい未来を思い描いていた。しかし、実際に働き始めてみると、理想と現実のギャップに悩まされることになる。

「試合前のステージショー、グラウンドでのパフォーマンス、7回裏ではラッキーセブン、勝てば勝利パフォーマンスなど、確かに踊る機会は沢山ありました。
でも、そうじゃない仕事の時間のほうが圧倒的に長いんです。入場ゲートでお客さんを迎えてサインや写真撮影に応じたり、ファン参加イベントの誘導をしたり、着ぐるみのアテンドとインタビュー対応の手伝いをしたり。
あるいは、球団によっては球場内ツアーのガイド、ショーのMC、リリーフカーの運転などもチアガールがやるんです」

ひとたび出勤すれば、ユニフォームを脱いで帰路につくまで、息つく暇もない。そんな過酷な状況下でもファンに声を掛けられれば、常に笑顔で“神対応”を求められるのだ。
「チアガールの場合、ファンがついても一切良いことなんてありませんよ。だからしつこく際どいポーズでの写真撮影を求めてくる人は拒絶したいのが本音です。でも、万が一私たちの対応でお客様が怒ってトラブルになれば、球団の評価を下げることにも繋がりかねません。チアガールも選手同様『球団の顔』なので、問題を起こさないようにしているんです」

チアガールの多くは、たとえセクハラ被害に遭ったとしても、球団のイメージを守るために泣き寝入りするしかないというのが現実なのだという。さらにエリカさんは、チーム内の人間関係も大変だったとこぼす。

「チームや年度によっても違うでしょうが、私がいたチームは女社会特有のギスギスした感じが強く、自分よりもファンが多い後輩にきつく当たる先輩もいました。踊ることが大好きでチアになった私の同期も、
お客さんからのセクハラと先輩からの嫉妬に耐えきれず、結局、辞めてしまいましたね」

1/25(金) 7:00配信 ディリー新潮
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190125-00555436-shincho-base&;p=1

写真
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