実際に戦った選手の立場ならどうだろうか。
北朝鮮代表で在日Jリーガーの李栄直(東京ヴェルディ)に、チームの特徴やストロングポイント、ウィークポイントなどについて聞いた。

「攻撃に関しては、しっかりとボールをつないでゲームを展開します。中東のチームはドリブルをしがちだとか、ボールを持ちすぎるイメージがありますが、決してそうではない。
最終ラインから選手同士が声を出し合って、早いテンポでしっかりつないできます」

李の話では技術がしっかりしていて、かなり組織的なプレーをしてくるという。
「サイドからの攻撃ではチャンスと見れば、ドリブルで積極的に仕掛けてきます。FWはスピードがあるので、隙を見せると危ないでしょう」

◆19番24歳FWの決定力に注意!
 
では、特に注意すべき選手は誰か。
「19番のFWファハド・アルムワッラド(アル・イテハド)はとても能力の高いFWです。スピードとフィジカルに優れていて、積極的にゴールを狙ってくるでしょう。1
4番のMFアブドッラ・オタイフ(アル・ヒラル)も左サイドからの攻撃がとてもやっかいだった印象があります。

それに10番で主将のMFサレム・アルドサリ(アル・ヒラル)はピッチを動き回って、ボールをもらいにいき、パスを供給する。攻撃にしっかり絡んできます」
特に19番のファハド・アルムワラッドは、今大会2得点と絶好調。24歳ながらA代表キャップ数はここまで54試合と多く、ゴール数も「13」と決定力も高い。日本はかなり警戒する必要がありそうだ。

「ペナルティエリア内に入ってきたときの、攻撃のバリエーションの多さには気を付けたほうがいいでしょう。シュートを打とうとする意識の高さがかなりあるので、そうした怖さはありました。
少しでも距離を開けるとシュートを打ってきます。1対1の勝負でも、抜いてくるスピードと技術はあるのでその対応はすべきです」

◆サウジの弱点はCBの2人?
 
北朝鮮代表の李にとっては、0−4で敗れた相手。弱点を見つけるのは難しいかもしれないが、それでも付け入る隙はどこかにあるはずだ。

「攻撃に意識がありすぎる分、ボールを取られたときのカウンターに対処する切り替えは遅いなと感じました。サウジの選手はボールばかりを見るときがあります。
例えば、セカンドボールを取るときのポジショニングがおろそかになったりするので、逆に日本のポジショニングがしっかりしていれば、攻め続けるのは可能です。
あとはCBの2人のボールの持ち出し方が良くないなと思っていたので、そこを徹底的にはめて行ければ、得点チャンスが生まれると思います」

◆「日本は必ず勝てる」
 
李は球際の勝負やフィジカルにおいても、「日本からすれば、そこまで圧倒的な強さを感じないはず。日本の攻撃陣なら大丈夫でしょう」と語っていた。
Jリーグで日本のサッカーを経験している彼からすれば、日本が確実に主導権を握れるとの確信があるようだ。

最後に予想スコアを聞いてみた。少し悩みながら、「2−0で日本が勝利しますよ」と笑顔を見せる。
「圧勝は難しいでしょうが、今の日本が自分たちのサッカーをしっかりやれば、負ける相手ではありません。自分たちは負けましたが、日本の勝利を期待しています!」

日本で育ち、Jリーグを知る北朝鮮代表の貴重な視点と助言。しっかりと肝に銘じたい。

1/20(日) 10:30
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimmyungwook/20190120-00111734/

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