2018年12月、サントリーサンバーズOBの奥野浩昭さんが闘病の末に息を引き取った。「逆足のエースアタッカー」として有名な元全日本男子代表で、東海大在学中に抜擢され、世界選手権に出場。1984年にはロサンゼルスオリンピックにも出場した。身長は187cmとそこまで大きくはないが、胸囲110cmという日本人離れした体躯から繰り出されるパワフルなバックアタックが印象的な選手だった。
フォト 追悼・元全日本ロス五輪代表 奥野浩昭さん
引退後に大分支社に赴任していた頃に、「カーテンコール」で取材させていただいたことがある。デンマーク出張の前夜だという当時の彼は、頭の回転が早く、コミュニケーション力がある。そんな印象を受けた。すでに20年近く前のことだ。
近年はFacebookを通じてのやり取りが主だった。数年前の春高取材中にFacebookのメッセンジャーが届き、「仙台商業はどう? 勝てそう?」と母校の勝敗を気にかけていた。昨年春には食事に誘っていただき、久しぶりに対面を果たした。髪色はロマンスグレーになっていたが、相変わらずダンディで、軽妙なトークに思わず時の流れを忘れた。後輩の荻野正二現サントリー監督のことを「あの子は気持ちのいい子だったから、頑張って欲しいんだ。全日本の監督になるんだったら、僕がプレゼン資料を作ってあげるよ! こっちは毎日そういう仕事をしてるからね。少しでも役立ちたいね」と快活に笑っていた。
「5年前に胃を手術してね。でもおかげで今もスリムなままさ」とも。「またカーテンコールで取り上げてね!」とウィンクして手を上げて立ち去った。まさかそれが最後の別れになるとは思わなかった。あまりにも、早すぎる。
荻野監督からのメッセージと当時の記事を再掲し、ご冥福を祈りたい。
荻野正二監督コメント
荻野正二サントリーサンバーズ監督
僕とオクさんとは、1年だけチームでかぶっています。オクさんは、本当にバレーが好きな人やった。引退されてからも、オクさんが自分でバレー大会を立ち上げたりしてね。そういうバレーボールを愛していたところを、サントリーの後輩としてしっかり引き継いでいきたいですし、今このリーグを、オクさんにいい報告ができるよう、全力でがんばります。
次ページは:カーテンコール(Vマガジン2000年11月号収録)
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