不起訴処分は妥当


自宅に暴漢が突然押しかけてきた際の恐怖たるや想像を絶するが、
「これだけの事件で不起訴って、被害者が苦しみ続けて加害者側が守られるの?」といった声が多数上がっているように、
このように卑劣な犯行を働いた男たちが不起訴処分となったことは、なんらかの特別な事情があるのだろうか。

弁護士法人ALG&Associates執行役員の山岸純弁護士に話を聞いた。

「報道によると、『集合住宅の共用廊下で待ち伏せしていたファンの男性らが、帰宅してきたアイドルが彼らを見つけて騒ごうとしたので口をおさえた』
『顔を手でつかんで押した』という暴行を理由に逮捕されたとのことです。

通常、この程度の暴行であれば、不起訴処分となります。

そもそも刑罰というものは、犯罪に対して、『何がなんでも逮捕して起訴・有罪に持ち込む』というものではなく、
『二度と同じ過ちを繰り返さないように、刑罰という苦痛を与えて反省させ矯正する(特別予防)』という目的のために与えられるものです。

このため、逮捕したという事実によって身体拘束された男性らが反省し、『もう二度とこんなことはしない』という態度を示し、
検察官がこの反省を信用できると判断すれば、わざわざ起訴・有罪にまではしないわけです。これを『刑罰の謙抑性・補充性』の原則といいます。

被害者がアイドルということで騒がれていますが、被害者が一般人であればニュースにもなりませんし、通常は不起訴処分です。
なぜなら、開放された共用廊下での出来事ですし、そこで暴行・脅迫を用いた姦淫行為の一部が始まったとはいえないからです。
これが家の中なら話は別です」(山岸弁護士)
https://biz-journal.jp/2019/01/post_26222.html