あの人はいま 元アーセナル 井手口陽介さん(30歳)

2016年、リオジャネイロ五輪。 それを、テレビで見つめる男がいた。

18歳で将来を嘱望されアーセナルへ入団した、宮市さんは今…

「あの頃は若かったですね(笑)」

若き日を回想する宮市は、どこか寂しげだ
「未だに当時の夢を見ることがあるんですよ。CL決勝で、俺がチェンバレンと交代して活躍する夢を」
レンタル移籍を繰り返しアーセナルを退団後、グランパスへ加入するも
出場機会は叶わず横浜FCに活躍の場を求めた
その後、故郷の刈谷FCに移籍するも、故障がちになり
若手や新加入選手の台頭に押され目立った活躍はできず26歳の若さで引退を決意。
今は味噌カツ料理屋を営む傍ら、地元の少年サッカーのコーチを勤めている
暖簾の屋号の文字は元アーセナル、ベンゲル監督の手によるものだ
「いらっしゃい」。名古屋駅東口から歩いて3分
「味噌カツ屋 MIYAICHI」のえび茶色の暖簾をくぐって店内に入ると
白いタオルを頭に巻いた宮市さんと妻、タエさんの元気な声に迎えられた
「去年の4月にオープンしました。暖簾の『MIYAICHI』という文字はベンゲル監督に左手で
書いていただいたものだし、開店に合わせてスポーツ紙やテレビでも取り上げてもらった
おかげで、県外から足を運んでくださるお客さんが多かったのはうれしかったですね」
とはいえ、その分、プレッシャーも大きかったという

「味噌カツ好きは飛行機に乗って本場・名古屋まで食べ歩きに出かける時代でしょ
ボクが修業した名古屋の老舗『味噌カツのなかにし』の丼ものは白味噌がベースなのが特徴だから
醤油ベースが味噌カツ丼だと信じ込んでる関東人にはモノ足りないようなんです
それで怒られちゃったこともあるけどそれも修業のうち。我慢、我慢です」

かつての同世代で現パルマ所属の原口や、リバプール所属の宇佐美について尋ねると…
「あいつら俺より足遅かったんですけどね(笑) 」と、おどけ
「監督に気に入られるのも才能だと思いました」
「怪我さえ無ければって…歯がゆいですけど」
「今はもう現役に未練はありません。今度は教え子でバロンドールを狙いますよ(笑)」
(写真)味噌カツ丼を手に持つ宮市さん