2018年も残りわずかとなり、今年の「流行語」「漢字」「ブレーク俳優」「好きなアナウンサー」「顔」など、1年を振り返るランキングや授賞式などがネット上をにぎわせています。

なかでも多いのは、「ヒットがその1年の世相を反映する」と言われるエンタメや芸能人に関わるニュース。2018年はどんなコンテンツやタレントがヒットしたのでしょうか? 

 ここでは今年のエンタメや芸能人を振り返りながら、あらゆる業界に共通するヒットの法則、すなわちビジネスチャンスの可能性を見いだしていきます。

■新星でもベテランでもない中堅がブレーク

 まず俳優でブレークしたのは、田中圭さん(34歳)と中村倫也さん(32歳)。

 田中さんはこれまでも年間5〜10作に出演する芸能界屈指のバイプレーヤーでしたが、ひさびさに主演を務めた「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)で人気が爆発しました。一方、中村さんも硬軟OKの「若き名バイプレーヤー」と呼ばれていましたが、朝ドラ「半分、青い。」(NHK)への出演で幅広い層から支持される存在に。

 とりわけ田中さんは、『日経トレンディ』発表の「2018年のヒット人」、「ORICON NEWS」発表の「2018ブレイク俳優ランキング」1位に選ばれるなどの圧倒的な支持を集め、私のところにも多くの媒体からコメント依頼がありました。

 女優では、最大のブレーク発信地となっている朝ドラの主演を務めた永野芽郁さん(19歳)と安藤サクラさん(32歳)。永野さんは19歳ながら芸歴10年目であることから、かつて無名女優の登竜門となっていた朝ドラが、現在はそれなりの実力と知名度を兼ね備えた中堅クラスの女優を起用していることがわかります。ちなみに永野さんは、「ORICON NEWS」の「2018年ブレイク女優ランキング」1位にも選ばれました。

 本来この手のランキングや賞は、いわゆる“新星”のためにあるようなものですが、「2018年はフレッシュな存在よりも、ある程度の実績と知名度を持つ“中堅クラス”が選ばれた」ということ。男女ともに“新星”でも“ベテラン”でもなく、真ん中の“中堅”がブレークしたのです。

 ただ、この現象は俳優に限ったものではありませんでした。

■くっきーの躍進と賞レース王者の停滞

 「2018年のブレイク芸人」の象徴となっているのは、野性爆弾のくっきーさん(42歳)。白塗りメイクなど規格外の芸風に加え、「崖っぷちホテル」(日本テレビ系)、「MASKMEN」(テレビ東京系)のドラマ2作に出演し、展覧会「超くっきーランド」が各地で行われて盛況でした。

同期のブラックマヨネーズ、次長課長、チュートリアル・徳井義実さんらが先に売れていく中、くっきーさんは、まさに遅咲き。そのほかでは、“新星”にあたる、ひょっこりはん(31歳)が人気者となりましたが、発掘した日本テレビを中心にした瞬間的なスポット出演が多く、年間を通してのブレーク芸人とは言いがたいところがあります。

 また、ブレーク芸人の登竜門となっているお笑いの賞レースでは、「R-1ぐらんぷり」(フジテレビ系)で濱田祐太郎さん(29歳)、「キングオブコント」(TBS系)でハナコ(菊田さん31歳、秋山さん27歳、岡部さん29歳)、「M-1グランプリ」(テレビ朝日系)で霜降り明星(粗品さん25歳、せいやさん26歳)と、いずれも“新星”が優勝しました。

 しかし、現時点ではまだブレークという段階まで至っていません。各賞レースの審査員を務めた先輩芸人たちは“新星”の出現を後押ししたものの、期待されたほどメディアや一般人の反応がなく、「即ブレークというわけにはいかなかった」のです。

 船越英一郎さん、貴乃花さん、水卜麻美アナらのモノマネで、くっきーさんとのセット出演が多かったガリットチュウ・福島善成さん(41歳)を見ても、“新星”や“ベテラン”より「真ん中である“中堅”の活躍が目立った1年」と言えるのではないでしょうか。

 音楽業界に目を向けると、9月16日で芸能界引退した安室奈美恵さん(41歳)が圧倒的。「オリコン年間ランキング 2018」の「年間アーティスト別セールス部門」1位、『日経トレンディ』の「2018年ヒット商品ランキング」1位に輝きました。

 また、印象度の高さやブームという面で見ると、DA PUMPも忘れてはいけないでしょう。「U.S.A」のMV再生数が1億回を突破するなど、歌とダンスが大流行。16年ぶりの「NHK紅白歌合戦」出場が決定したほか、「日本レコード大賞」の有力候補となっています。

>>続く