東京オリンピックまで2年を切る中、NHKがスポーツ界で相次ぐ不祥事の原因についてオリンピックの競技団体に尋ねたところ、「ガバナンスにかける人手や予算に余裕がない」と答えた団体が60%余りに上ることが分かりました。専門家は「国は競技力向上だけでなく、競技団体のガバナンスを高めるための支援を強化するべきだ」と指摘しています。

パワーハラスメントや助成金の流用などスポーツ界で相次ぐ問題を受けて、NHKは夏と冬のオリンピックで行われる41の競技団体を対象にアンケート調査を行い、すべての団体から回答を得ました。

不祥事の原因について複数回答で尋ねたところ、「選手などへの啓発活動が不十分」が26団体と最も多く、次いで「ガバナンスにかける人手や予算に余裕がない」と「スポーツ界で黙認されてきた行為が問題視される時代だから」が共に25団体で61%に上り、個人の資質だけでなく、組織の構造的な問題が不祥事につながっているという認識が明らかになりました。

そのうえで団体のガバナンスについて財政が十分かどうかを聞いたところ、「不十分」「やや不十分」と答えた団体が26団体と63%に上り、このうちほとんどの団体が「事務局の役職員に十分な人件費をかけられない」と答えました。

さらに4年前にNHKが行った調査と比べると、選手の強化にかける費用は平均で今年度、1.6倍と大幅に増加している一方で、職員の人件費などに充てる管理費は1.2倍の増加にとどまり、全体の支出に占める割合が減っていることがわかりました。

競技団体の組織運営に詳しい早稲田大学の間野義之教授は「東京大会に向けて、どこの競技団体も選手強化に予算を使いたがるが、団体の管理費は強化費と車の両輪だ。国は競技力向上だけでなく、競技団体の事務局のガバナンスを高めるための支援を強化するべきだ」と指摘しています。

2018年12月19日 18時16分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181219/k10011753071000.html