本当に、期限内に交渉を終えられるのか…。
米大リーグ・ウインターミーティングが終了した(12月13日/現地時間)。
同会合はメジャーリーグ30球団の幹部が一堂に集まり、来季以降のリーグ戦運営や、トレードやFA交渉を含めた選手補強について話し合われるもの。
菊池雄星投手(27=埼玉西武)がポスティング・システムを使っての米球界挑戦となったことで、日本の野球メディアも今年のウインターミーティングに注目していたが、移籍先は決まらなかった。
「昨年はフリーエージェントになった高額年俸選手が多かったため、どの球団も交渉に慎重でした。
今年はそんなに遅れていません。実際にこの会合内で所属先が決まった選手もいました」(米国人ライター)
ニューヨークヤンキースのキャッシュマン・ゼネラルマネジャー(以下=GM)は、菊池の代理人であるボラス氏とすでに接触したことを認めていた。SFジャイアンツ、マリナーズなども興味を示しているそうだが、交渉に進展は見られない。

「ボラス氏は吸血鬼のアダ名も頂戴しているくらい、エゲツない交渉を仕掛けてきます。
球団側にすれば、年俸のつり上げに長けたボラス氏との交渉はやりたくないのがホンネです」(特派記者)
しかし、菊池の交渉が遅滞しているのは、代理人の敏腕によるものではないようだ。
「菊池の性格も影響しているようです」
菊池を見送る側のNPB関係者がそう言う。
日本を代表する好左腕投手だ。左の先発投手がほしいのはメジャーリーグも同じで、それも27歳と若ければ、なおさらだ。
とはいえ、ボラス氏が菊池に興味を示す米球団側に伝えている“条件”の中には、グラウンド外の要望もあった。
「一般論として、メジャーリーグに挑戦してきた日本人選手は住宅、家族のサポート、米国内で納めなければならない税金のこと、オフに帰国する際の航空券、通訳などを野球以外の要望としてお願いしてきました」(前出・米国人ライター)

菊池のお願いは、それだけではないという。菊池は「トレーニングおたく」でもある。トレーニング・メニューも独自で、
栄養学やウエイト・トレーニングなどに関する知識も豊富で、何か新しいトレーニング方法が専門誌などで紹介されると、すぐに飛びつくなど勉強熱心な一面も秘めている。
努力家で、向上心を持ったプロ野球選手ではあるが、米球団からすれば、叶えられることとそうでないことがある。
それを整理し、「ここまではサポートできるが、ここから先は折れてくれないか?」と返事をしなければならない。
できること、できないことが整理されて、初めて本格的な交渉がスタートされる。つまり、ウインターミーティングで目立った動きがなかったということは、米球団側はその仕分けができていないわけだ。
もっと言えば、菊池サイドが出した条件が多すぎるか、細かすぎるということだろう。
「ヤンキースですが、30代で今季17勝をあげた別の左腕投手と合意間近と報じられています。
菊池獲得から下りたとも判断できます」(12月15日時点/前出・同)

菊池も全てを叶えられるとは思っていないはず。しかし、譲れない点もあるだろう。
今回のポスティング・システムによって、菊池に許された交渉期限は、1月2日まで(現地時間)。
ボラス氏は「自信アリ!」と日米メディアに言い切ったが、菊池の「おたく知識」が交渉に影響を与えたのは間違いなさそうだ。(スポーツライター・飯山満)

https://news.nifty.com/article/sports/baseball/12184-44740/
2018年12月17日 21時40分 リアルライブ