“キムタクの妻”でも“元おニャン子クラブ”でもない。
工藤静香(48)はいまや、“Koki,の母”としての足場を固めた。
上昇気流に乗る15歳の娘を操り、自分のステージにもきっちり組み込む。
その戦略がはまったか、年末のディナーショーが大人気なのである。

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工藤のクリスマスディナーショーは、愛媛を皮切りに鹿児島、新潟、愛知、東京で行われる。
おおむね、3万円前後から約4万円とお高めの料金設定にもかかわらず、完売状態という。

こう聞けば、今年5月のモデルデビュー以来、話題が途切れないKoki,の効果だと誰もが思う。
工藤の所属事務所は、「昨年も同じくらい売れました」と言うものの、なにしろ、映画出演もない時点で映画賞を受賞してしまったほどだ。


“工藤静香”というブランド

今後どこまで昇り詰めるのか見当もつかない存在が、どう料理されるのか。実際に、ショーを覗いてみた。

11月25日、愛媛県今治市の「今治国際ホテル」。
400人を超える観客のほとんどが中高年。工藤の全盛期を知る世代だ。成人した息子を連れた母親もいる。

工藤はドレスをワインレッドから緑、黒と着替え、代表曲の「嵐の素顔」など全14曲。その歌声は色褪せていないばかりか、

「笑ったりすると笑い皺が目立つ年になりましたが、みんな一緒にね、いっているので安心、みたいな。先輩もいらっしゃいますし」

といった客いじりも板についている。そんな円熟のステージで、工藤が娘に触れたのは終盤だった。

“工藤静香”というブランド

MCで客席に年輩が多いことに触れた工藤は、「津軽海峡冬景色」の1番だけを披露した。大喜びする会場。“裏メニュー”の演歌がウケて上機嫌な彼女も、

「みなさん、一番の盛り上がり見せてませんか? 大丈夫ですか?」

と、おどけながら、

「それでは、次に紹介する歌は、ちょっと手話を入れてみました。Koki,が書いてくれた『鋼の森』」

「おおー」という声と拍手に包まれる会場に、イントロが響く。短いながらも最高の演出だ。アーティストとしてのKoki,を、まさにメインディッシュとして饗したのである──。

元ジャニーズJr.で作家の平本淳也氏は、現在の工藤をこう見ている。

「歌手として一流ですし、絵画も入賞する腕前。木村拓哉を夫に持ち、“工藤静香”というブランドを築いてきました」

だから母娘の二人三脚においても、

「Koki,のアーティストとしての面をもっとアピールしたいのでしょう。と同時に、その存在を育てた自分も見せたい。
娘の育て方なんて本を出すでもなく、娘の曲も何曲も歌わず効果的に使うのは、うまいと思います。
Koki,をここまでプロデュースしてきた母親である彼女が、Koki,を利用できる唯一の人なのではないでしょうか」

SMAP解散以降、影が薄くなったように映る父親に思いを致すと、いささか複雑な後味になるが。

「週刊新潮」2018年12月13日号 掲載

http://news.livedoor.com/article/detail/15754858/
2018年12月18日 5時59分 デイリー新潮

https://www.youtube.com/watch?v=sj6qntBSWng
工藤静香 私について 中島みゆきX後藤次利