千葉の古豪・銚子高、東都の雄・駒沢大、一時代を築いた社会人チーム・プリンスホテル。石毛宏典はアマチュア時代から名門野球部を渡り歩いてきた。だからこそ危惧していることがある。それが大学、社会人球界をはじめとしたアマチュア球界のレベル低下だ。その原因はどこにあるのだろうか――。

打者のレベルが低下、大卒投手の評価はアテにならない?

ーー2018年は、ドラフト1位で入団した大卒投手たちが苦戦しました。東克樹(横浜)こそ新人賞に輝く活躍をしましたが、馬場皐輔(阪神)・斎藤大将(西武)・近藤弘樹(楽天)・鍬原拓也(巨人)で合わせて2勝に終わりました。

石毛 高校レベルでは140キロ以上投げる投手が増えてきたが、それでも金属バットの高校野球だと力関係は五分五分。だが、大学に入ると野手は木製バットへの対応に苦労する。ここで一気に投高打低の構図になる。投手として大学時代に評価を上げても、プロの世界では大学時のように思い通りにはいかない。急になにかを変えようとすると、それが故障に原因にもなる。プロで本当に通用するのか否か、スカウトの眼力が試されるよね。

――石毛さん自身も大学は木製、社会人は再び金属バットを使っていたとか。

石毛 そう。わたしは高校の最初の頃は木製バット。高校3年になってから金属になって、大学では再び木製。そして社会人時代はまた金属バットに戻った。

――環境やバットがコロコロ変わる中で、西武入団1年目から正遊撃手として打率.311、21本塁打、55打点の成績で新人王を獲得しました。簡単に対応できましたか?

石毛 できるでしょう。金属バットの弊害、功罪はいろいろあると思うが、要はバットという道具を使って打つわけだから。わたしに言わせれば、野球もゴルフも、金づちで釘を打ち込むのも同じテコの原理。コツを掴めばなんてことない。

――当時の社会人野球出身投手は、金属バットに鍛えられた選手も多かったと記憶しています。1989年のドラフト1位選手は、野茂英雄(近鉄/新日鉄堺)、潮崎哲也(西武/松下電器)、佐々岡真司(広島/NTT中国)、与田剛(中日/NTT東京)、西村龍次(ヤクルト/ヤマハ)と社会人投手だけでも錚々たる顔ぶれでした。

石毛 彼らの多くは、空振りが奪えるフォーク(ボール)を決め球にしていた。金属ならバットの先端や詰まらせた打球でも距離が出ることがある。野茂も佐々岡も与田も、プロ入団当初から素晴らしいフォークを投げていた。

つづく

12/14(金) 6:50配信 victory
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