FA宣言するとたいていマネーゲームに突入し、移籍先が決まると選手は口を揃えて“お金ではない”と弁明するものだ。ところが、今季の打点王で西武から楽天への移籍が決まった浅村栄斗(ひでと)(28)の“お金ではない”は本物だった。

 古巣西武が4年20億円を呈示し、楽天もそれに近い金額でオファー。そこに金満ソフトバンクが4年28億円を積んで参戦してきたのだが、浅村は、“プラス8億円”を袖にして、楽天を選んだのだ。

 記者に“決め手は?”と問われた浅村は開口一番、“環境”と答えた。

「楽天には岸孝之(34)や渡辺直人(38)といった元西武の選手がいますからね」

 とスポーツ紙西武担当記者が語る。

「9月にGMに就任し、獲得交渉の指揮を執った石井一久氏も、現役最晩年の西武在籍時に、入団したての浅村と重なっています。特に、昨オフ、西武を戦力外になり楽天に拾われた渡辺は浅村と仲が良い。今季さしたる活躍もない渡辺は、本来はクビでもおかしくないのですが、移籍してくる浅村の“環境対策要員”として残留できたようです」

 渡辺の年俸は1500万円。なるほど、それで“8億円”に勝てるならお安いものである。

「いや、ああ見えて浅村の方だって、きちんと算盤勘定をしていますよ」

 とは大手紙デスク。

「石井GMは吉本興業の契約社員で、マネジメントは吉本興業スポーツ部が担当しています。実は今、吉本興業が球界のフィクサーとしてにわかに存在感を増しているのです」

 エンゼルス大谷翔平の代理人事務所も吉本と提携契約を結んでいるという。

「プロ野球選手といっても引退後に野球で飯を食えるのは一握り。そんななかで、吉本は、マネジメント契約しているアスリートにテレビ出演の仕事を持ってきたり、わりとしっかり面倒を見ているのです。石井以外にも大物が多数在籍しているので人脈も作りやすいですしね。浅村は、引退後の生きがい、セカンドキャリアを見据えて吉本、もとい楽天を選んだわけです」(同)

 損して得取れ――転職戦線異状あり。

「週刊新潮」2018年12月6日号 掲載

12/7(金) 5:57配信 デイリー新潮
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181207-00552826-shincho-base