大相撲の前頭貴ノ岩(28=千賀ノ浦)が、付け人で三段目力士の貴大将(23)に暴力を振るった問題で、入門から今年9月の秋場所まで指導した
元貴乃花親方の花田光司氏(46=元横綱)は「言語道断」と、かつての弟子を一刀両断した。問題発覚から一夜明けた6日、都内で日刊スポーツの取材に
答えた。また11月の九州場所で初優勝した小結貴景勝(22=千賀ノ浦)ら、旧貴乃花部屋の力士からも「残念」などの声が相次いだ。

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貴ノ岩の育ての親は口調こそ落ち着いていたが、それとは対照的な言葉を発した。元貴乃花親方の花田氏は、新幹線で都内に戻ったところで歩きながら
質問に答えた。貴ノ岩が起こした暴力については、開口一番「あんなことをしちゃったらね…」と、残念そうに話した。さらに「言語道断でしょ」と
続けた。昨年10月に元横綱日馬富士による暴力事件で貴ノ岩は被害者となり、自身も暴力根絶を訴えてきた。その思いが届いていなかったことへの、
歯がゆさを飲み込むように後は「予定があるから」などと多くは語らなかった。

今年10月に、日本相撲協会が暴力決別宣言と、暴力問題再発防止策の方針を発表した。それは貴ノ岩のようなケースが再び起こらないよう、
花田氏が愛弟子を守ろうとしたのが発端ともいえる。皮肉にも協会の宣言などを受け、暴力の加害者は厳罰に処する方針が適用される第1号も
貴ノ岩となった。そんな状況を招いた貴ノ岩の軽率な行動と、かつての弟子が再び暴力の被害者となった貴大将への思いやりが混在し
「口では言い表せないこと」の意味の「言語道断」という言葉となったのかもしれない。

この日、大分・別府市で行われた冬巡業に参加した、旧貴乃花部屋時代から弟弟子の貴景勝、貴源治は、ともに真っ先に「残念です」と語り、
視線を落とした。暴力については「顔が腫れていたので分かった」(貴景勝)「顔を見れば分かる」(貴源治)と、頬が腫れた翌朝の貴大将を見て
察知したという。初優勝からわずか10日後の出来事だが、貴景勝は「僕のことはどうでもいい。自分は相撲を取ることしかできない」と気丈に話した。
苦楽を共にしてきた兄弟子と再び相撲を取りたいか問われると「付け人の立場もあるし、2人の関係もある。ただ、早く解決してほしい」と、
一段と深刻な顔で話した。

貴源治は「この件に関しては『言い訳なし』じゃないですか。言葉はないですよね。これが貴ノ岩関の人生なんだな」と厳しい言葉も述べた。
貴源治は、双子の兄の貴公俊も暴力を振るって謹慎処分を受けた。一時の感情で暴力へと発展する愚かさを人一倍感じている。常に暴力問題の渦中に
さらされてきた旧貴乃花部屋。育ての親にも、弟弟子にも、暗い影を落とすことになった。

日刊スポーツ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181207-00412501-nksports-fight
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