■あの人はいま 元メジャーリーガー ダルビッシュ有さん(38歳)

2027年、ワールドシリーズ。 それを、TVで見つめる男がいた。
25歳で将来を嘱望されメジャーリーガーになった、ダルビッシュさんは今……

「あの頃は若かったですね(笑)」
若き日を回想するダルビッシュは、どこか寂しげだ。
「未だに当時の夢を見ることがあるんですよ。ワールドシリーズで俺が胴上げ投手になる夢を」

東北高校を卒業後、ドラフトで競合の末、日ハムに入団。チームのエースとして日本一にも貢献した。
その後、ポスティングで念願のメジャーへ移籍を果たし、レンジャースに加入した。
しかし、メジャーでは苦戦が続きドジャース、カブスなど球団を転々とした。
カブスを解雇になった後レイズにマイナー契約で加入するも怪我に悩まされ、若手の台頭もありわずか一年で解雇となった。
完全に世間から忘れられた存在となり、ひっそりと引退を決意。
引退後は不運が重なり、信頼していた人物に裏切られ、これまで稼いだ貯金をすべて騙し取られ一文無しになった。
しかし、今はトレーニングジムを営む傍ら、地元の少年野球団のコーチを勤めている。

●看板の屋号の文字は元日本ハム監督の栗山英樹氏の手によるものだ
「いらっしゃい」。JR大阪線羽曳野駅東口から歩いて10分。「マッスルジムYu」のえび茶色の看板を目印に事務内に内に入ると、白いタンクトップを着たダルビッシュさんと妻の聖子さんの元気な声に迎えられた。

「去年の4月にオープンしました。看板の『Yu』という文字は栗山監督に左手で
書いていただいたものだし、開店に合わせてスポーツ紙やテレビでも取り上げてもらった
おかげで、地方から足を運んでくださるお客さんが多かったのはうれしかったですね」

●とはいえ、その分、プレッシャーも大きかったという。
「筋トレ好きは飛行機に乗って本場・アメリカまで筋肉留学に出かける時代でしょ。
ボクの筋トレ理論は独学なのが特徴だから、ケビン山崎が正しいと信じ込んでる日本人にはモノ足りないようなんです。
それで怒られちゃったこともあるけど、それも修業のうち。我慢、我慢です」

●かつてのライバルで現ロッテの涌井や、巨人所属の森福ついて尋ねると……
「あいつら俺より下手やったんですけどね(笑) 」と、おどけ
「ツイッターなんてやらなければよかったと思いました」
「怪我さえ無ければって…歯がゆいですけど。」
「今はもう現役に未練はありません。今度は、教え子で日本一を狙いますよ(笑)」

(写真)必死の形相でバーベルを上げるダルビッシュさん