[天皇杯準決勝]鹿島0-1浦和/12月5日/カシマ
 
0-1で惜敗。浦和との天皇杯準決勝を黒星で落とし、鹿島の今季の国内タイトル無冠が決定した。
 
「内容が悪くても勝てるのが強いチーム。鹿島は勝たなければいけなかった。それでも勝ったチーム(浦和)が強いということ」と内田篤人が唇をかみしめた。
 
 レオ・シルバが太股の張りを訴え、三竿健斗が恥骨痛で離脱中。大岩剛監督は、西大伍をボランチとして初起用し、永木亮太とコンビを組ませた。「序盤は守備がはまり、相手に何もさせない状況ができた。(西との)バランスはよかった」(永木)。永木が中盤の底で舵を取り、西が高めにポジションを保ち、攻撃に厚みを加えた。
 
 8分、鈴木優磨がマウリシオの背後を突いてエリア内に進入するが、接触プレーで転倒するも笛はならず。11分には再び鈴木が好機を迎え、左足でシュートを放つがDFがブロック。19分には、内田の右クロスを西がヘディングで合わせたが、枠をとらえることはできなかった。
 
 決定機を決められなかった鹿島に対し、浦和は27分、CKによるセットプレー1本で先制。鹿島は追撃を試みたが、この1点を最後まで守りきられて試合は終了した。「一発取って勝っていくのがオズワルドらしい」と内田。敵将オズワルド・オリヴェイラ監督がかつて鹿島を率いていた際に見せていた『勝ちに徹する』手堅い戦術の前に屈した。
 
「勝利にこだわる」鹿島の哲学を、本拠地で浦和に示された。ジーコGMは「私は勝利しろと言っているが、負けろとは言っていない。申し訳ないが、きょうはこれ以上は話せない」と語気を強めた。選手たちも一様に険しい表情を見せたが、12日にはアジア王者として出場するクラブW杯開幕を控えており、早期の切り替えが必要とされる。
 
 この試合、内田が10月3日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第1戦の水原三星(韓国)戦以来約2か月ぶりにフル出場を果たし、今後への好材料を得た。一方で、後半ロスタイムに鈴木が右腿を肉離れ。「走り出した瞬間、今までに経験したことない痛みが走った。(クラブワールドカップは)無理。こんな痛みは初めて」と話し、UAE遠征には帯同しない見通しとなった。
 
 また、ボランチも“野戦病院”と化している。小笠原は膝に水が溜まり、安定したパフォーマンスを出せず。浦和戦前日にも水を抜く治療を受けたが、試合では本職ではない西が代役として出場。小笠原はベンチに入るにとどまった。三竿健とも11月の日本代表戦を終え、恥骨痛で別メニューが続いている。鹿島強化部も「健斗は無理」とクラブワールドカップ欠場を示唆しており、厳しい台所事情で今季最後の大会に臨むことになる。
 
 ACLという最大の目標を成し遂げたが、連戦による戦力の低下。大きな代償を払った。しかし、それでも『アジア王者』である以上は下手な試合は見せられない。今季の締めくくりへ。世界を舞台に、鹿島の底力を見せる時が来た。

12/6(木) 5:21配信 サッカーダイジェスト
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