高校バスケットボールの名門として知られる山梨・富士学苑女子バスケットボール部の61歳の男性監督が、16年から18年まで3年にわたり、部員に練習や練習試合の際に蹴り、至近距離からボールをぶつけるなどの体罰を加えた上、「死ね」「殺すぞ」などの暴言を浴びせていたことが1日、分かった。学校側は監督を解任し、理科教員としての身分も来年3月までの停職処分とした。

監督は1985年(昭60)に同校に赴任し、88年から女子バスケ部の顧問、監督を務め、全国高校選抜優勝大会(ウインターカップ)に23回、導いた。練習法のDVDも発売されるなど、名指導者として知られていたが、今季はウインターカップ県大会決勝で韮崎高に敗れ、4年ぶりに出場権を逃していた。

学校側は1日、報道各社の取材に応じ、同監督の体罰、暴言発覚から解任に至る経緯をまとめた書面を配布した。

<11月22日>

匿名の電話で「女子バスケットボール部の指導の中で暴言や体罰が行われている」という情報が寄せられた。

<同26日>

電話の内容に基づき、聞き取り調査を行った。

<1>監督…校長、副校長が担当

<2>部員(1〜3年全員)と部顧問(監督以外の2人):教頭2人が担当

その結果

暴言:「死ね」「殺すぞ」「熱中症になれ」

体罰:足ですね、背中を蹴る、至近距離からボールをぶつける

など暴言、体罰とみられる事案が練習、練習試合で複数回、複数名の部員に対して行われたことが発覚した。

監督は「指導に熱中するあまり、行き過ぎがあった。暴言や体罰と取られても仕方がないと思う」と説明したという。顧問2人も「監督の指導の一環だと認識していたが、行き過ぎがあった」と認めたという。

一方、部員の中には、指導の一環で暴言、体罰と捉えていない生徒も多い一方、部活動において暴言、体罰は絶対にあってはいけないと考える生徒もいたという。また、監督の指導の継続を望む声も多かったが、指導者を変えるべきという意見もあったという。

学校側は、調査内容を踏まえた上で管理職による会議を開き、文部科学省の「学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例」などに照らして、監督の行為が体罰に当たると判断。ケガをした生徒はいなかったものの、監督に部活動の指導をしないことを命じた。

<同28、29日>

調査内容の再確認と監督に対する処分を検討

<同30日>

山梨県私学・科学振興課と山梨県高体連に連絡

<1日>

監督に同日付で停職処分を下し、監督を解任。後任監督は男性顧問が、コーチは女性顧問が務めることも決まった。女子バスケ部緊急保護者会を開催。

学校側は今後、コンプライアンス委員会の設立を含めた再発防止策を講じ、部員、生徒、保護者へのケア、フォローを行っていくとした。


12/1(土) 20:36配信 日刊スポーツ
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