名匠クリント・イーストウッド監督が、90歳間近にして麻薬の運び人を務めていた老人の実話を映画化する新作『運び屋』が、2019年3月8日より日本公開されることが決定し、特報映像とポスタービジュアルが公開された。イーストウッドが監督作で自ら主演を務めるのは『グラン・トリノ』(2008)以来10年ぶりとなる。

 本作のベースになったのは、2014年6月に The New York Times 誌に掲載された1本の記事。そこには、2011年に逮捕された、メキシコからデトロイトへ大量のコカインを運び込んでいた“伝説の運び屋”が、逮捕歴もない87歳の普通の老人レオ・シャープだったという、衝撃的な事件が記されていた。

 この事実をもとに、『グラン・トリノ』でもイーストウッドとタッグを組んだニック・シェンクが脚本を執筆。イーストウッド監督作『アメリカン・スナイパー』(2015)で主演を務めたブラッドリー・クーパーをはじめ、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシア、マイケル・ペーニャ、ダイアン・ウィーストらに加え、イーストウッドの娘アリソン・イーストウッド、『死霊館のシスター』のタイッサ・ファーミガなど新星まで、実力派がイーストウッドの下に集結した。

 前作『15時17分、パリ行き』(2017)からわずか1年あまりで新作を発表。現在88歳とは思えぬハイペースな仕事ぶりで精力的に活動するイーストウッド監督は、自ら主人公アール役で主演も兼任。くしくも撮影時の年齢は、当時のシャープと同じ87歳だったという。

 特報に映し出されるのは、自宅は差し押さえられ、娘の結婚式で妻と娘を悲しませ、家族をないがしろにしてきた男の姿。後悔の念を抱きながらもピックアップトラックを運転し、積み荷を運び続けるアールの表情は何を物語っているのか。傷つきながらただただ荒野を走るアールの姿に、故・山田康夫の声質を受け継いだ多田野曜平による「人は永遠には走れない」というナレーションが。イーストウッド自身の人生を振り返るような、新たな傑作の誕生を予感させる。(編集部・入倉功一)


2018年11月30日 4時00分
https://www.cinematoday.jp/news/N0105272
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動画 https://youtu.be/y7Bi21_dJoU